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第65話
マリーの寝室へと向かいながら、俺はドキドキしていた。
さっきの続き……
続きとは!!
セ……セッ…………!!
セッく……ス……!するの?
「うあぁ……」
「……どうした?」
「あ、いや!なんでもっ!」
隣を歩いているマリーが俺の顔を覗き込んでくるし、そもそもとっても距離が近い。
っていうか歩いている間、しっかりと肩を抱かれべったりでとってもドキドキが止まらないんだけどー!
確かにマリーのこと知りたいって言ったけど、大分違う。
性的な意味じゃなくて、もっとこう……好きな食べ物とか趣味とかそんな基本的なことだ。
それに……どうしても確かめておかないといけないこともある。
あの人、ヴァーノンさんのこと……
あの人があれからどうなったのか……
「ね、あのマリー……ちょっと聞きたいことがあって……んぶ!」
勇気を振り絞って声をかけたのに、いきなり抱きしめられてしまった。
!!
ちょっと!
声がでないっていうか息ができないから!
マリーを腕を叩き、長い髪をツンツン引っ張って必死に抗議する!
死ぬ!
死ぬって!!
「ぷはっ!!」
首をひねってなんとか逃れることができ、呼吸することができた。
「はぁ!……何するんだよマリー!死ぬとこじゃ」
「やぁっほ、才様~~」
「え」
声の方を振り返ると、何とそこにはあのヴァーノンさんがニコニコしながら立っていた。
あの時と変わらない銀色の髪はサラサラで、優雅に紺色の長いローブを身に纏い、こちらへとやって来る。
「あ……ヴァーノンさん……?」
「ヴァノ何しに来た」
「うっ!あ!」
ぐいっとマリーに引き寄せられてしまい、ヴァーノンさんが視界から消えてしまった。
「うわぁ……過保護過ぎですよマリー王子。この間のことは謝罪したじゃないですか!もう才様には何もしませんから。才様を安心させてあげようと思って急いで参上したんですから」
「お前の顔は見たくない」
「そんなこと言われたら寂しいですよ。僕……才様~僕は死んでませんから安心して下さいね」
!!
「あ!あの!本当に大丈夫なんですか!?」
「才!あいつと話さなくていい」
「駄目、話したい!あの時凄い……凄い怪我をしていたし、絶対大怪我してたって思って……それにマリーにだっていっぱい血が……血が」
「……そうだね」
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