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第76話
「マリー……それ指、ちょっとやめて……」
「……」
指先の動きに動揺してしまう。
ゆっくりと、触れるか触れないかの微妙な動きは小さく円を描いたり擦ってみたりして二人の間に濃密な空気が漂いはじめ危険だ。
これはいけない。
これは駄目だって……マリーは絶対わかっててわざとやっている。
「……や、駄目だって……手首……や」
「……」
「……」
「才……気持ちいい?」
「……う……」
ソワソワと身体が落ち着かなくなってくる。
こうなってきたら駄目なんだ。
あの日、マリーと初めて繋がった日から俺の身体はおかしくなってしまった。
少しでもそういう気分になってしまうと、マリーのことが欲しくなってしまうのだ。
はしたないと思いながらも、その事で頭がいっぱいになってしまい、身体が火照りだしてしまう。
だからなるべくそういうことを考えないようにしているんだけど、マリーはお構い無しだ。
少しだけ口元が笑っているように見える。
……馬鹿ー!
「才の身体が俺のこと欲しがってる。顔が赤い……」
「……マリーの馬鹿」
「ヴァノが言うには、身体が妊娠したがっている証拠だからその反応は良いことらしいから、我慢しなくていいんだぞ」
そう、あのヴァーノンことヴァノは実はかなり権威ある魔術師で医学にも精通しているらしい。
マリーが俺を見つけた時にルースがわかるようその能力をあたえたのは他ならないヴァノだった。
ヴァノが言うにはこの症状は、俺が男であるのに妊娠できる身体になるときに起こる副作用らしく、そのうちに治まるらしいんだけど……
……ドキンドキン……
すみません。
これっ!
い、いつ治るんでしょうか!
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