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第83話 番外編 婚約中5
ルース
泣いていらしたのか、涙目で目元は赤く腫れ小さく肩を震わせ辛そうにされている。
「……」
「マ、マリーまだ……会議中だからね……」
「……」
「えと、大丈夫……具合悪い訳じゃないんだ。終わるまでここで待ってるから……ごめん……一人にしてもらって……いい?」
「……はい、了解致しました……」
……
一礼し寝室の扉を閉め、言われた通り才様を一人残して後にした。
……
ドキン……
ドキン……
「はぁ〜〜〜」
……口元に手を当てため息をつく。
このわたくしが動揺してしまい、気の利いた言葉をかけることが出来なかった。
……
恐らくあれはマリー様が言っておられた副作用の発作なのだろう。
才様の身体の中で起きている特殊な変化。男でも子供が産めるようになるのだ。
その変化に伴い今の才様は頻繁にマリー様を求められる。いわゆる発情した状態になるらしい。
一刻も早く世継ぎが欲しいと願っているので、これは非常に嬉しいことなのだが、あの御姿は……他の者には見せられない。
絶対に……
欲情した瞳に敏感になった身体……誘うような吐息に半開きの口……まだ少し幼さも感じられるのに官能的で色っぽかった。
うっかり抱きしめ唇を奪い慰めてしまいそうになった。
しかしその瞬間寒気がする。
……あの御方のモノに手を出すなど、考えるだけで罰せられてしまう。
罰せられるというか、まず命はないだろう。
ヒョイッと吊し上げられ、サクッと串刺しにグツグツ煮られこんがりと焼かれて……灰になれれば良いのですが……ゴクリ……
ひぇー!そんなのごめんです!!
……お、恐ろしいですよ!才様っ!貴方って御人は!!
若干乱れた呼吸を整え、暫く思案する。
……
そして向った先は、城内にある会議室である。才様はああ言っておられたが、今日の会議は何時までかかるか正直時間が読めない。
それにマリー様の中で才様は一番愛しい大切な存在だ。才様関連は包み隠さずマリー様に報告したほうがよい。
それにあの状態の才様を一人にさせておくのは危険過ぎる。安全な場所にいるとはいえ、なにが起こるか分からないし、護衛をつけることも叶わないだろう。
マリー様と一緒にいてもらった方が護衛の面でも安心なのだ。
ついでに子も出来れば万々歳です!
これぞ一石二鳥というもの!!
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