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第84話 番外編 婚約中6

マリー 「失礼致します」 会議中にルースがやってくるなんて珍しいこともあるものだと思った。 今日の会議は関係者が一堂に会する貴重な機会なので、具体的なスケジュールなどを見直し、それぞれの現状や抱えている問題などを、全て報告してもらう。相変わらず各地域の問題は尽きないが悪い状態ではない。 音もなく現れた特殊な家臣は、無駄に緊張感漂う会議室の空気も気にせず、俺のすぐ隣まで近付き耳元で囁いた。 「才様が発作でマリー様の会議が終わるのをそわそわと待っておられます。大変お可哀想でしたのでわたくしの一存でお伝えにまいりました」 「……」 ……才が発作? 昨日も一昨日もあったので、今日は大丈夫だと言っていたばかりなのにまた? 才と想いを伝え合い愛し合うようになってから才の身体は毎日のように俺を求めるようになった。 本人も混乱するこの症状を治めるにはセックスするしかない。 恥ずかしくて我慢したいが我慢できなく、泣きながら懇願してくる才は可愛くて可愛くて仕方がない。 今まさにあの状態で俺が終わるのを今か今かと待っているなんて知ったら……100%速攻行くだろ! 「ノラ、後は任せた」 会議は家臣に任せ、会議室を後にする。 「寝室に籠っておいでです」 ルースが静かに呟く。 「ルース、お前あの状態の才を見たか?」 「見……み、目をつぶりましたので大丈夫です!」 ……なんだその丸見えの嘘は…… 一瞬殺意が沸いたが、直ぐに思い止まった。 今の才の身体の変化を自分以外に把握していなくてはならないのは、世話役のコイツしかいないからだ。 城内から内殿へ足早に向かう。 寝室へ着く頃にはルースの姿はもうなかった。 カチャリと扉を開ける。 窓からの光が柔らかに射し込む部屋に一見才の姿は見当たらない。 しかし明らかにおかしいカーテンが一つ……巻き貝のようにクルクル巻かれたカーテンの裾から細い足首が覗いていた。 「才……俺だ」 「……」 「大丈夫か?」 「……マリー?」 カーテンごと抱きしめると、才の身体がビクリと揺れる。 巻かれてるカーテンをゆっくりと解いていくと、愛しい艶々の黒髪が現れた。 「……会議終わったんだ」 「ん、終わった」 「良かったぁ……」 涙目の才の身体は熱っぽく、少し強ばっているようだった。呼吸は荒く口呼吸をしていたかのか唇が乾いていた。 「辛かったか?」

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