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第3話 初夜

三 初夜  クラブ・サンドウイッチとサラダを食べ終わると、忍はアメリカン・コーヒーを炒れてくれた。  俺が飲んでいる間、彼は流しで後かたづけをしている。  時計を見ると十二時近かった。俺は慌てて言った。 「あ・・・もう帰らなくちゃ・・・」  忍は手を止めてはっと俺を見ると、 「あ・・・あの、泊まっていけば?兄貴はどうせ、いないし・・・兄貴の部屋に泊まれば・・・」 「えっ?」  忍はま流しに顔を戻した。その直前、俺を見た目を恥ずかしそうに下に向けたのを見た。背中の呼吸が少し激しくなっている。俺の心臓もどきどき高鳴り出した。後ろを向いたまま言った。 「シャワー、入んなよ」  俺が一階にある狭い風呂場で服を脱ぎ出すと、忍が戸を少し開けて、 「これ・・・兄貴の下着とパジャマ」  シャワーから出ると二階に行けと言う。上がるともう布団が敷かれていた。  布団の上に座ってぽかんとしていた。忍と今宵は何をするでもなく、ただ、同じ屋根の下に寝る。  でも俺は幸せだった。忍は三階に寝るはずだ。  忍の兄の布団に寝転がっていると、とんとんという階段を登ってくる足音。シャワーに入ったにしては早すぎる。  階段の踊り場で足が止まった。お休みの挨拶でもしてくれるのか。がらとこの部屋を仕切っている襖があいた。  そこには帰ったままの服装の忍がいた。  忍は俺に近寄ってきた。布団の上に足を伸ばして座っている俺の前で、膝を突然突いた。  膝でにじり寄って俺の足を跨いだ。俺は思わず後ろに体を傾けた。  忍のその背中はあくまでも健康的に反り、そのため臀部は後ろに突き出されたように見える。  胸の突起は薄い絹のタンクトップの上に突きだし、その甘い匂いの息を吐く口は、俺の口の三十センチほどに近づいた! 「シャワー浴びようかと思ったけど・・・我慢出来なくなっちゃった。汗くさいの嫌?」  俺は分けが分からず首を横に振った。汗くさいのが嫌かと聞く理由は・・・  忍の瞳は俺の目を射続ける。  俺は忍の言葉に逃げ腰になった。これが現実なのか分からなくなった。相手は男の子で高校生なのだ!  じっと見る忍に言い訳をするように言った。 「あ・・・鳥居がなんて言うか・・・」  忍は顔を顰(しか)めた。  こんな場面で兄の話などしたくない。責める様な口調で、 「兄貴なんか関係ないよ!関係あるの?電話して許可取んなきゃ駄目?」  ああ!俺はもう自分を止められない!人から何と言われようと俺は・・・!  俺は震える手で、忍のタンクトップの絹の上から、二つの大きく飛び出している突起を触った! 「あ・・・ふあっ!」  忍が仰け反る。その太腕を掴んで、引き寄せた。  親以外の生身の人間を抱き寄せるのは初めてだ。ずっしりと暖かい忍の胸部が俺の懐に密着した。腕を回して背中を抱くと、忍のジーパンの陰部が俺の腹に乗った。熱く堅くなっているのが分かる。  そして忍の顎を捕らえて上を向かせ、口を合わせた!  甘いとろける様な唇!  忍はぎごちなく口を吸われていた。でも段々と、今日の映画で見た女優の様に顔を動かし始めた!イメージ・トレーニングの効果というやつか!  しばらくふんふんと鼻を鳴らしながらお互いを貪っていた。俺はふいに口を離し忍の口の横に流れた涎を舐めた。甘い。はあはあと息をつきながら切なそうに俺を見る忍。 (忍・・・俺のものになってくれるのか?)  こんな台詞を高校1年生の男の子に言っていいものか?俺は忍が頷くことを確信していた。  背中に回した腕で少し忍の肉体を持ち上げ、頬から首に唇を這わせた。柔らかく暖かい肌の感触。頸動脈から激しい鼓動が伝わってくる。  忍は上を向き、口を半開きにして浅く激しい息をしている。  忍の背骨は反り、胸と尻を突き出す様にして俺に身体を預けていた。両腕は力無くだらりとさせて俺の愛撫に揺れる。最後に胸の突起を布の上から舐めた!  唾で絹は透き通り、乳首の形を浮き出させる!俺は夢中で代わる代わるその二つの乳頭を吸った。  忍が腰を捩(よじ)り、股を俺の腹にさらに擦り付けて来た。お互いに獣の様な荒い息を吐き続ける。  俺は忍の股間に右手を伸ばし強く圧迫した。指を蕾の方へ伸ばし会陰の上に這わせる! 「あ!んっ!吾郎さん!いやだっ」  忍のぱんぱんに張った股間のジーパンの下で、どくんどくんと脈打つ感触が手に伝わる!  言葉と肉体は全く別々に働いている様だ!  忍の体が俺に覆い被さる。俺の頭を忍は抱え、俺はさらに忍の乳首を吸った!  忍は腰を動かし、俺の手を強く挟もうとする。俺は手の平を忍の股の間に押しつけ、揉む様に陰茎と陰嚢の膨らみを圧迫した。 「あ・・・ああーっ!」  忍の肉体は遂にびくんびくんと痙攣し、ジーパンの厚い布地の下で大量の液体が流れ出る感触が俺の手に伝わってきた。  射精が終わると、激しい息を突きながら、忍はぐったりとした。  俺は優しく忍を抱いて、俺が座っていた布団の上に寝かした。忍は息を突きながら目を瞑って横たわった。そして俺は忍のタンクトップを脱がしていった。  夢にまで見たその上半身が露わになった。筋肉質なのだが、脂肪が適度に付いているため、その輪郭は柔らかく中性的だ。骨格が華奢なので、鍛えてもその美しいシルエットは変わらないのだろう。そして絹よりもきめ細かい白い肌。今は上気して妖艶な桃色となっている。  胸には俺の唾で濡れてぴんと勃起した乳首。  次ぎにジーパンを脱がしていく。  大きな腰からやっと剥がしても、大腿にジーパンがきっちりと絡みついている。脱がせるのに結構力がいる。臑毛もないつるとした足。腰には黒い光沢のあるビキニのブリーフを履いている。自分の魅力をよく分かっているのだ。普段は高校生らしくボクサートランクスなどを履いているのだろう。こんなビキニを着けて剣道着に着替えているところを同僚に見られれば、やはりそれなりの目で見られるだろう。  そのブリーフの陰部の上には、白い精液が通り抜けている。俺はそこに口をつけるとそれを舐めた。  苦く甘い焦がれた少年の体液。俺は貪り吸った。  吸い尽くすと、俺は忍の肌を腰から上に舐めていった。汗の塩辛い味・・・この上ない柔らかさの下腹に顔を埋めた。艶めかしい臍に舌を入れる。  乳首に再び到達すると、忍の肉体がびくんと波打つ。 「ご・・・吾郎さん・・・キスはしてくれないの・・・?」  俺は忍の身体の上に乗ると忍を引き寄せ、再び激しく口を吸った!  色々な角度から舌を這わせ、舐め、吸い、そしてお互いの舌を出して先と先を触れ合う。忍が俺の舌を求めると俺の舌は逃げる。忍が首を起こして俺を追う。先が触れ合う。今度は俺が忍を追う。  俺の一物はこれまでにないほど反り返っていたが、俺は愕然とした!ここまで来て大切なことを忘れていた。  このままでは忍に挿入出来ない!ゼリーかなにか無ければ忍を傷つけてしまう! 「吾郎さん・・・これ・・・」  俺の後悔している顔を見て、忍が脇に投げ捨てられたジーパンのポケットに手を伸ばし、何か出した。  コンドームだった。 「兄貴の隠し場所から失敬しちゃった!」  忍は恥ずかしそうに言った。 「これ・・・?」 「・・・俺、女の子の役だろ・・・吾郎さん、俺に・・・挿れたいんだろ?」  忍は俺の目を見つめて俺の心を確かめると、体を起こしてコンドームの袋を破り、丸くなった物体を取り出した。 「嵌めてあげるよ」  俺が胡座(あぐら)に座り直すと、その前に膝を揃えて臑を外に出して座り、屈み込んで俺のものにコンドームを装着していく。 「あれ・・・?」  裏と表を間違えていた。忍は上目で俺を見て、 「ご免、間違えちゃった」  あまりの可愛いしぐさに、俺は忍の髪を梳き、頬を撫でた。 「嵌める前に舐めてあげようか?」  忍は俺の返事を待たずに頭を下げると、俺の陰茎の先を迷わず含んだ!  なんというとろける様な感覚!だが、忍はまだ高校1年だ! 「お、おい!何でそんなことを知ってるんだ!」  忍ははっと目を上げた。だがその瞳に衒(てら)いはなかった。 「何故って・・・AVの女優ってそうしてるじゃない・・・」  軽蔑されるのかと心配になったようだ。 「・・・ご免。吾郎が嫌いならしないよ」 「い・・・いや・・・そういうことじゃ・・・」  忍は俺をじっと見上げた。腕を前に突いているので胸が盛り上がり、成人の女のように艶めかしい。 「・・・してくれるか・・・?」  忍はにっこり笑って頭を再び被せた。  忍の舌が俺の亀頭の表裏を舐め回す。射精に導くには、喉を使って深く入れ、出し入れしなくてはならない。忍はまだそこまで知らない様だ。だが、恋した者に自分の最も汚らしい器官を含まれる気分は、俺の生殖中枢を刺激しだした!  俺は腰を上下させる代わりに忍の髪を掴み出し入れさせた。だが、最後までいくには、忍にかなりきついことをさせなければならない。俺はそんなことは忍にしたくなかった。  達することが出来ない感覚はますます俺の挿入への欲望を高めた。 「し・・・忍。もう、嵌めてくれ」  忍が口を離すと俺の亀頭から俺の体液と忍の唾液が混じり合い、つつと筋を引いた。  ティッシュで粘液を拭き取り、忍がぎごちない手つきで、俺の茎にコンドームを嵌めていく。これから自分の肉体の中にこれが挿入されるということに震えているようだ。  忍が何か言おうとするのを俺は先を征した。 「吾郎と呼んでくれるか」 「・・・じゃ、吾郎・・・やさしくしてくれる?・・・はじめてだから・・・」 「ああ。俺だって」 「えっ?ほんと?」  忍はびっくりした顔をした。 「兄貴は結構遊んでるから・・・吾郎もそうだと思ってた。格好いいし優しいから・・・だからレストランで聞こうと思ったんだ」 「俺は鳥居とは違うよ。あまり遊びは好きじゃないし」  忍を不安にさせてはいけないと、自信たっぷりの振りをして言った。 「でも俺もAVなんかで勉強してるんだ・・・苦しかったら言えよ」  忍はこっくりすると、布団の上に後ろを向いて四つんばいになった。大きな臀部がこちらにさらけ出される。 「吾郎・・・明かり暗くして」  俺は柱のスイッチを切った。真っ暗闇になった。忍が手探りで枕元の本読み用蛍光灯を点けた。何度かスイッチを押して最も暗い睡眠灯にした。忍が緊張に震えて上下する胸や背中が、ぼんやり照らされた。  俺は目が慣れると、忍の蕾や会陰がはっきり見えるのにほっとした。  忍には悪いが目に焼き付けておきたい。 「忍・・・いいのか?後ろからで?」 「前を向いても良いけど・・・俺、どんな顔をするか分からない・・・吾郎に変な顔を見せたくない!」  なんて可愛いんだ!俺のものはますますゴムの中で堅さを増している。俺は忍のお尻の前に膝を突いた。  衣魚(シミ)一つ無い双丘!柔らかそうに蕾んだ唇のような肛門!  俺はコンドームを扱いて指にワセリンを付けた。そして人差し指で蕾にそれを塗る。忍の肉体が硬直する!  俺は人差し指を蕾に差し込もうとした!蕾が固まる! 「あ!あん・・・!」 「力を抜け!忍」  俺は人差し指をずぶと入れた。忍のお尻が逃げる様に持ち上がり、背筋が捩れる。  俺は指を少しづつ上下左右に動かして、蕾をほぐし広げて行く。忍が必死に力を抜こうとしているせいか、蕾が少し広がり、中の暗い空洞が口を開けた。  忍が熱い息を吐き、唇を舐めた。  俺はゴム臭のする亀頭を狙いを定める様に蕾の口に付けると、忍の腰を両手で力一杯抱え、忍の肉体に一直線に陰茎を押し込んだ! 「あーっ!」  忍は兄の枕に口を押しつけて、自分の叫びを封じた!  俺の岩の様に硬直した茎は、床に水平に忍の中を容赦なく穿って行く!  本来なら、俺の腹にくっついてしまうほど猛り狂ったペニスが、忍の腸に包まれ、強制的に角度を抑えられている。  その圧迫感の快さ!  忍が逃げようと前に動く。だが、俺が腰を強く固定する。それでも前の壁まで忍の肉体は逃げ、頭をぶつける。俺は力任せに忍の肉体を引きずり、もとの位置に戻した。 「うん!うん!・・・」  少しずつ力を抜いた時に挿入する。  少し入ると忍の蕾がペニスを締め付ける。無意識にだろうが、俺は括約筋の無い女性器ではこんな感覚は味わえないだろうと直感した。古代から美しい少年を愛する風俗は世界中にあった。その意味が分かった様な気がした。だが、現代ではこれは犯罪なのだ!  ついに俺の楔は根本まで埋没した!俺の陰嚢が忍の会陰に当たる!強く押し当てる。もっと入れ!  忍が例え止めてと言っても、夢中の俺の耳には聞こえなかったかも知れない。  しかし、忍の苦しそうな呻きにはっと我に返った。 「し・・・忍・・・痛い?」  忍は枕に顔を付けて首を振った。だが、肉体の筋肉の硬直やびっしょりとかいた汗を見ると相当に苦しいはずだ!  顔を横にして息を吸うと忍は言った。 「だ・・・大丈夫!つ・・・続けて!」  俺は律動を開始するために、陰茎を少し引き抜こうとした。だが、忍の蕾をもう少しで裂こうほど大きくなった俺のものは、忍の腸に密着していた!  まずい!  コンドームのワセリンだけでは足りなかった!  ・・・俺は射精をすることを諦めた。  このまま律動をすれば、肉体的にひどいことを忍にすることになる。  ここまで耐えてくれたらもういい!  俺の恋をここまで受け入れてくれたら、もう念者冥利に尽きるではないか!忍は健康的な普通の少年なのだ。  俺は忍の苦しみを少しでもセックスの快感に近づけようと思った。苦しみだけを忍に与えたくなかった。だから、忍の性感帯を刺激し愛撫して、少しでもお互いに溶け合うことを試みようとしていた。  相変わらず、俺の一物は忍の中で反り返ったままだ。いつになるか分からないが、抜くためには性的興奮が収まるまで待たねばならない。それまで忍を愛撫し続けよう!  俺は忍の上体を持ち上げて俺の胸に付けて抱いた。  忍は上を向いて浅く身近な息を突いている。俺はその妖艶なうなじに吸い付いた。  指が忍の二つの乳首を摘んだ。忍がはあと溜め息を突いた。優しく指を動かし乳頭を転がし、捻る。忍の手が俺の手首を掴む。だが、俺の動きを制する力はない。忍の首が回り、唇が俺を求める。  楔を打ち込まれ、乳首を玩ばれ、忍は俺の舌を求める。オスの喜び。完全な一体感。  忍の柔らかい下腹が波打ち、半分勃起した陰茎から透明な液体がしとど溢れ茎を濡らしていた。  忍が蕾に力を入れたり抜いたりし始めた。体内の肉壁もそれに合わせて蠢いているようだ!忍の肉体の熱さがさらに高まってきた。  この少年は今、女に変身しようとしているのだろうか。活発な少年が、男の股の上に乗り、乳首とうなじを刺激されて肉体を捩(よじ)り悶えているなど、常識の世界ではあり得ない。俺は強い背徳感を感じた。しかしそれが却って俺の性的欲望を高める。  忍が自分で、体を艶めかしく上下させはじめた!俺は忍を傷つけない様に動きを合わせる。だが、忍の体内の蠕動に、俺の陰茎に快感が伝わってきた!女でみみず千条という名器があるそうだが、忍の肉体内のこの蠕動はそれに匹敵するものなのか!男でこんな話は聞いたことがない!  俺の陰茎が突如、忍の動きと反対に滑った!思わず俺は自分の茎の根本を見てしまった!忍を傷つけたか?  だが、血が出ているのではなかった!忍の蕾から、ずると途中まで茎を引き出す。俺のゴムに包まれた陰茎には粘液が絡んでいた!ゴムに付いていたワセリンよりも、もっと滑(ぬめ)る液体!忍の腸から愛液が分泌され始めたのだ!  俺は恐る恐る律動を開始した。最初は小刻みに。そして段々大きく腰を動かす! 「ん・・・あ・・・うん・・・」  忍の呼吸が激しくなった。  お互いの粘液にまみれた獣の生殖!  なぜキリスト教で禁じられ、江戸時代の日本でも禁令となったのか!分かった!それでも綿々と裏で続けられた美しい少年に対する行為!無生産の禁断の行為! 「忍!愛してる!」 「ああ!吾郎!・・・!」  俺のコンドームの中に何億もの無為に生産された俺の遺伝子が迸っていた!  忍の肉体がびくついた。  そのあまりの激しさに。 三 了

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