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第5話 変身

五 変身  食事が済み、忍が後かたづけをする間、俺は先にシャワーを浴びた。  ・・・昨夜のあの美しい少年との交合は本当だったのだろうか?  俺はこの家に確かに今いるではないか?  またこの後、忍と愛し合うことが出来るのだ!  シャワーを出ると、忍はキッチンにいなかった。いぶかしく思って二階に上がる。襖を開けると既に乾いた布団が敷いてある。部屋のライトも消され、枕元の小さな明かりだけだ。  俺は昨夜のことを思い出して、淫靡な感慨に浸った。  いっそのこと三階の忍の部屋に行こうかと考えた。きっと三階で身繕いをしているのだろう。それに忍の部屋がどんななのか知りたかった。  俺は踊り場に出て少し躊躇っていたが、意を決して急な階段を上がって行った。 「忍・・・?」  忍の部屋の前の踊り場の襖の前で、忍を呼んだ。  中からはっとする忍の息使い。クローゼットを慌てて締める音。 「・・・入って良いか?」  しばらく俺は返事を待っていた。  返事が無ければ下に降りよう。 「・・・いいよ」  俺は襖を開けた。心臓が高鳴る。何か、女の子の見てはいけない秘密の部屋を覗くような気分だ。  おんぼろのっぽの家の最上階の天井は、奥に行くほど低くなり、ちょうど忍の背ぐらいで板壁に接合されていた。その壁に寄せてシングルベッドが置いてある。その足もとに剣道の胴衣を入れた大きな袋と竹刀袋。  教科書や参考書が、窓と反対の壁のカラーボックスに整然と並べられている。ベッドの手前には勉強机。入り口の近くにクローゼット。  三畳ぐらいの絨毯を敷いた自由空間があり、その真ん中に忍は大きめのTシャツだけを着て腕を前に交差させて立っていた。  Tシャツの裾は忍の腿の上の部分まで覆っている。  呼吸は少しせわしいようだ。右手は自分の左肩を掴み、左手は右肘の下で右横腹に付けている。  俺は、自分の体を包み隠す様にしている忍に見とれていた。額から別れる長い黒髪。逃れた髪が頬に掛かっている。 「襖・・・閉めなよ」  俺が後ろ手で襖を閉めると、 「俺・・・まだシャワー入ってないよ・・・始めて映画行った時、公園で俺の髪の臭い嗅いでたろ?」 「ああ・・・」 「昨日も嫌がらなかったけど・・・俺の身体の臭い好き?」  俺は一瞬凍り付いたが、小さく頷いた。 「どんな臭いがするの?俺の体なんて臭いだろ」 「い・・・いや・・・良い匂いだ。甘くて野風のような・・・」 「男でも?」 「ああ・・・忍が男でも・・・」  忍はそれを聞くとTシャツを脱ぎ始めた。  交差した手でそのまま、シャツを掴むと上にたくし上げた!  ああ・・・!何という・・・  忍のシャツの下から現れた肉体に纏われたのは・・・  あの女物の下着!  薄い絹の光沢のあるパンティと、金糸の飾り縫いのある小さなブラジャー!  勿論、胸の間には隙間が出来ているが、恥ずかしそうに腕を組むと、柔らかな胸の筋肉が乳房の上の膨らみの様にカップに合わさる!  忍の肉体が小刻みに震えているのが分かった!  パンティの前飾りのフリルの下に本来女には無い膨らみがあった。括れた腰の上から始まる大きな臀部にぴったりとそのパンティはまとわりついていた!  俺が震える足で近づくと、腕を組んだままぷいと横を向く。  その目から涙が一筋流れた!  俺は思わず忍を抱きすくめた!  上を向かせ両腕で持ち上げる。忍はつま先だって腕を解き、俺の背中に手を回した。  女性の下着を纏ったアンドロギュノスとの口づけ!めくるめく官能の時間!  俺は、右手をそっと忍の左胸のカップの上から差し込んだ。口を吸われ続けながら、忍の肉体はびくんと反応した。  俺の指は忍の乳首を探し、見つけると人差し指と中指で挟んだ。そしてゆっくり愛撫する。口を少し離して、甘える様に忍が言う。 「ん・・・吾郎、エッチ・・・ボクの乳首好きなんだ・・・」 「ああ・・・感じる?」 「昨日、いじられてから服に擦れると感じる様になった・・・だからブラ買って貰ったんだ・・・」 「・・・いつも着ける?」 「冗談!吾郎といる時だけ・・・」  再び口を合わせ、今度は腰を抱いていた左手で臀部を撫で回し、徐々に双丘の間に差し込んで行った。  忍の両手が俺の首に回り、さらに口を強く押しつけ舌を入れてくる。俺は強く忍の舌を吸い、俺の舌の上下左右で舐め回した。  俺は足を使って器用に自分のパジャマを下ろした。すると、忍の片手が俺のパンツを尻から脱がせる!前からも引き下げると、俺の怒張した一物が忍の下腹を突いた。  忍のペニスも勃起し、伸張性豊かなパンティの前部を押し上げている。陰部の前の三角の部分は光沢のある厚めのシルクだ。俺たちはお互いのペニスをすべすべしたシルクを挟んで密着させ、こすりあいを始めた。  激しく腰をしゃくりあげ、互いの口を貪る!  激しい呼吸。  ぴちゃぴちゃという口の音。  顔の角度を変えて唇を合わせ直すたびに喉から漏れる息。  俺が、忍の蕾に指を突き立てる度に、忍が猫のような可愛い鳴き声を出す。シルクの上で滑るペニスの感覚!  欲情がさらに高まる!  忍が口を離し、俺の首にしがみついた!腰を今までにないほど擦り付けてくる。お互いの陰茎がどくんどくんと脈打つ!  俺たちは獣のような声を出して絶頂を迎えた。お互いの腹に熱い精液が何度も迸(ほとばし)った!  俺はぐったりとした忍を抱いてベッドに横たえた。ベッドのシーツの下には大きなタオルが敷かれていた。  忍のブラジャーの肩紐が腕のほうに緩んでいる。このサイズの女の子より忍の方が胸囲があるので、肩紐が外れたぐらいで忍の胸のブラジャーはずり落ちることはない。  ちょっと逞しい女の子とセックスをしている様な気分になる。だが、女装している少年と性交をするという現実が、俺をさらに高ぶらせていた。  俺は男色家だったのか。  遠い古代のローマ帝国で、女装して自分を男達に与えた少年皇帝が居たという。彼も忍のような輝くばかりの若さと美しさを持った少年だったのか。  俺は、忍のブラジャーを上から少し持ち上げて乳首を見た。ベッドの頭の方の勉強机の上にある薄暗い明かりでも、ようやくブラの中が見えた。  二つの乳首は勃起していた。  俺はブラジャーの位置を下げない様に指で持ち上げて胸の上から鼻を突っ込んだ!  そして舌で乳首を代わる代わる舐めた。 「あ!・・・あうん」  ブラを着けた少年の胸に、鼻と口を差し込んで舐め回す淫靡さ!少年の汗と体臭がそこに籠もっている!  忍の足首を持って持ち上げて俺は聞いた。 「・・・前からして、いいか?」  速い呼吸をしている忍は、恥ずかしそうな目をした。 「・・・いいよ。でも俺が変な顔をしたら見ないでね。そこにコンドームあるよ」  忍はベッドの横のサイドテーブルにある避妊具を指さした。  俺は忍にパンティを履かせたまま、蕾の所の布地をずらせて、コンドームを着けた陰茎を挿入していった。  これだけでも十分、変態的だ。  同性の少年に下着を着けさせたままセックスなんて!俺は狂っているのか!  昨日、開花した忍の肉体は今、十分な愛液を蕾に分泌させていた。  コンドームを着けたのは、忍に苦しい思いをさせてしまったのがトラウマになっていたからだろう。それに自分は何という背徳をしているのだろうという懺悔にも似た想いがあったのは確かだ。  この少年には親友の鳥居と同じ血が流れているのだ。  俺たちは相対して肉体を寄せ合った。忍は大きく股を開き脚を丸めて俺を受け入れた。  まるで女性と交合しているような気分だった。  重なり合い、下になった忍のブラの上の隙間から乳首を吸い、口を吸い、身体を密着させ、生殖の営みをこの少年に対して行った。  腰を深く突き入れる度に忍の肉体は上にずれ動き、仰け反り、艶めかしい声を上げる。時々俺は、忍の身体をもとの位置に下げなければならなかった。  忍の両足は、赤ん坊のおしめを変えるときのように上に大きく開き、俺の腰の横で畳まれ、悦びを感じる度に形の良い足の指を閉じたり開いたりした。 「・・・吾郎・・・コンドーム着けて満足出来る?」  激しい息の中で囁き合う。 「ああ・・・でも次は着けないでしていい?」 「コンドームの中に出したら・・・飲ませて」 「ええ?・・・俺のを?」  汗ばんだ艶めかしいうなじを見せて、忍は横を向いて唇を舐めながら頷いた。  俺たちは絶頂の時、お互いの名前を呼び合い痙攣を繰り返した。忍のパンティは、すでに幾度もの前立腺からドライオーガニズムで分泌される粘液とさっきの射精の精液で、透き通るほどぐっしょりと濡れていた。  俺は、俺を受け入れる為に開いた両足をベッドに落として激しく呼吸している忍から、そろとペニスを引き出した。堅さは無くなったが、まだ湯がいたソーセージのように質量を誇っている。  急いでコンドームを根本から巻き戻して外した。巻き戻す時、陰毛に引っ掛かり完全には巻き戻せなかった。  四分の三ほど巻き戻した透明のコンドームを、忍の口に近づけた。  ぶらんとぶら下がった精液溜まりには、たっぷりと俺の白濁が溜まっていた。  忍は力無く口を開けた。俺が十分味わった可愛い紅い舌が見える。健康的なしっかりした奥歯。  俺が精液溜まりの部分を持ち上げて中身を注ぐ様にすると、忍は舌を出してもっと大きく口を開ける。  丸く巻かれたコンドームの奥から、白い液体がとろっと流れた。糸を引く様に忍の舌の上に落ちた。  たっぷりとした量の俺の精液は、忍の舌から喉に入って行く。苦しくなって少し口を閉じてむせぶ。口の中で忍の唾液と混ざった。そして口腔全体をまみれさせる。  俺は注ぐことを一旦止めた。忍は目と口を閉じ、中で舌を使って撹拌している。そして俺を薄目で見るとごくんと飲み込んだ。  精液は特有の粘りで飲み込む事が難しいと聞いていた。俺が忍のものを含んだ時、夢中で十分唾液に混ぜたのでそんなことは分からなかったが。  胃がむかむかするのだろうか、少し眉間に筋を立てて目を瞑っていた。だが、目を見開くとまた口を開けて催促した。 「・・・忍。もういいよ。無理しなくても」 「いやだ!全部飲む!吾郎が出したもの、全部俺のものだろ!一滴も無駄にしない!」  忍の気の強さに今更驚いたが、俺は折れて俺の出した精液を全て忍の口に注(そそ)ぎ込んだ。  そして、飲み込もうと口を閉じた忍のブラジャーに再び顔を突っ込み、乳首を吸った。忍は肩を捩って耐える。  俺の精子をその口で受け取ってくれた忍。  さらに俺の愛の生産物をその『子宮』に注ぐため、俺は全身の血潮が滾る肉茎を、再び女の下着を着けた恋人に挿入していった。 了

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