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冬森は咄嗟に天音を拒んだ。 今、天音に触れられたら。 確実にそのきれいな手を汚す。 そうなったら、もうテラどころじゃない、マンモス恥ずかPレベルだ。 「触んなッむりむりッむりーーーッッ!!」 「ッほ……んと、俺の冬森に触んじゃねー!!」 どん!! ぶちぎれ夏川が171センチである自分より上背のある天音に全力で体当たりした。 然してダメージは受けずによろめいた程度の天音だが、夏川に胸倉を掴まれ、どうするべきか、彼は迷う。 「愛し合ってる仲なら……あんなものを冬森に使うな、夏川」 「ッ、うるせぇ!! このクソ優等生!! てめぇ冬森のことなんっにも知らねーだろーが!!」 「冬森とは確かに知り合ったばかりだ」 「うるせ!! 冬森はお前にはムリだから!! あいつヤリチンでビッチだから!!」 「ヤリチ……? ビ……?」 「あーーーもーーーブァカか、てめぇは!? 冬森は男女見境なくヤッたりヤられたり、そーいうえろあほやろーなの!!」 あーあ。 夏川、言いやがった。 覚悟してたけど、やっぱ、クルな、これ。 「てめぇんとこの担任、村雨!? あいつにもヤられてっし!? どっかの中年リーマンにもヤられて!? ゲス不倫ぶっちぎり!! 信じられる!!?? こっちの気にもなれよって話なんだよねー!!??」 夏川は今まで腹に溜め込んでいた鬱憤を呆然としている天音にぶちまけた。 天音は何も言えずに胸倉を掴まれたまま直立不動状態だ。 初めて接する話の内容がすぐに理解できずに、処理能力は低下気味、ただ聞いていることしかできずにいた。 というか、こんな大声を上げていたら当然他の生徒の耳にも届くわけで。 「おい、夏川」 「やり過ぎです」 天音と同じく美化委員で掃除用具点検中だった、冬森や夏川と中学入学時からの仲である春海と秋村がやってきた。

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