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「こ、これ……とりあえずこれ抜いてくれ、どっちでもいーから」 「仕方ないですね」 男子高校生にしては紳士的な物腰、スタイリッシュな眼鏡をかけたイケメン男子の秋村が手を貸そうとすれば。 「ッ秋村! 俺がする! お前は触んな!」 身長166センチでやや小柄な体つき、オレンジ系のライトブラウン色した短髪の春海がすかさず割って入ってきた。 ずるるるるるッッ!! 「ぎゃ……っばッ、かッ、もっと丁寧にそっと抜けよッ春海ぃッ!」 ばっちぃモンでも取り扱うように親指と人差し指でバイブの取っ手部分を摘まんだ、カーディガン姿の春海は、涙目で喚く冬森ではなくブレザー姿の秋村を睨んだ。 「冬森見て興奮しなかっただろーな、秋村?」 「バイブを抜く貴方の姿に興奮しました、春海?」 共にAクラスである春海と秋村は付き合っていた。 ぞっこん同士な二人の世界に二人なりに染まり切っていた。 「……頼むから今の俺の前でいちゃつくな」 脱力しがち、情けなくも未だ勃起中の冬森に一先ず無理矢理制服を着せ、春海は友達を立ち上がらせた。 トイレ内ではまだ夏川が天音の胸倉を引っ掴んで険悪な表情を浮かべていた。 まだ脳内が整理できていない天音は、まともな格好となって春海に支えられつつ個室から出てきた冬森を見、その表情を反射的に緩めた。 「冬森、大丈夫か?」 「……あ、天音」 かっちーーーーーーーーーーん 冬森と天音のやりとりに夏川、再び、ぶちぎれた。 「あのなーーーークソ地味、よーーーーく聞けーーー?」 冬森はなー、言っとくけどなー、ここにいるお前以外の全員にヤられてんだからな。 「全員……?」

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