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『冬森のココ、えろすぎだろ……』
『君って意外と可愛い一面もあるんですね、冬森?』
今現在はぞっこん同士、二人の世界に二人なりに染まり切っている春海と秋村だが。
ちょっと前まで若気の至りまっしぐら、春夏秋冬入り乱れの乱交に興じたこともあった。
『んああっ……春海ぃ……っんぎゃっ……秋村ぁっ、お前のカリ高えげつな……っ』
えろあほ度が半端なかった冬森に時々順々に乗っかったことがあった。
「誰にでも腰振る股開くえろあほなんだよ、こいつ」
最初は頻繁に乗っかられ、いつしか形勢逆転、えろあほ男子に一番乗っかるようになっていった夏川はお行儀悪く冬森を指差して断言した。
「その辺のビッチより緩い穴した尻軽なんだよ」
そんな冬森と、お前、ふつーにカンケー続けていけんのかよ?
ヒくだろー? 軽蔑すんだろー?
それならもう金輪際、俺の冬森に二度と話しかけんじゃーーーーー
ばっちーーーーーーん!!
まぁまぁ真実ではあるものの、夏川のあんまりな言い草に憤慨して止めようとした春海は、踏み出しかけた足をストップさせて。
その隣でさすがに露骨に言い過ぎだと呆れ果てていた秋村は、注意しようと開きかけた唇を思わず硬く閉ざして。
冬森は目を見開かせて、
思いきりビンタされた夏川越しに、
ビンタした当人の天音をまじまじと凝視した。
「どうしてそんな風に言えるんだ、夏川」
好きな相手のことをそんな風に貶めることができるんだ。
天音にビンタされた夏川。
彼はそこでグスンと涙して引き下がるようなか弱い男子じゃあ、なかった。
「この……ックソ地味やろーーーーー!! 調子のんじゃねぇぞ!!!!」
「っ、やめろ夏川ッ! そのモップ離せ!」
「夏川、いい加減にしなさい」
モップの柄を握りしめて振りかぶろうとし、大慌てで止めに入った春海と冷静に窘める秋村を押し退けようとしていた夏川は。
「おい、夏川ぁ」
自分を呼んだ冬森に狂犬さながらに殺気立つ視線を投げつけた。
「俺のことそれで殴っていーぞ」
ごめんな。
お前の気持ちに今頃気づくよーなバカで。
でも、頼むから、天音にもう突っかかるんじゃねーよ。
「冬森ぃ……う……ぐすっ……う……う、う、う!」
彼はやっとそこでグスンときた、モップを手放し、わんわん泣き始めた、頭をかく春海、ハンカチを貸してやる秋村。
「冬森ぃ~~っ……冬森のこと好きなんだよ~~っ……うわぁぁぁん!」
一番悪いのはこのくそあほな自分だと佇む冬森。
夏川の頬を叩いた掌がジンジンしている天音。
「何だか騒がしいね、ケンカかな?」
やっとそこで教師登場、実は廊下で聞き耳を立てていたPC部顧問の村雨がのほほんやってきたのだった……。
そうして冬森は下半身中毒から脱して健全なる学校生活を楽しく過ごすことができるようになったのだ!
……というわけにはいかなかった。
「天音」
翌日、いつもと何も変わらないような、晴れた日の朝。
昨日のことがあって気まずいものの、何でもない風を装い、いつものように声をかけてみたら。
教室の隣人は無言で顔を背けた。
冬森は……ぽろりと泣いた。
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