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『天音ぇ、モノ好きな女子にLINE聞かれても答えんなよ』
『俺は携帯を持っていない』
『えッ、あっ、そーなん? え、えええええッ? 初耳なんですけど?』
『聞かれなかったから言わなかっただけだ』
風船やポスターでテキトーに派手に飾りつけた教室。
前席で文化祭に遊びにきた女子高女子がスクリーンに映し出される犬猫動画にきゃーきゃー夢中になっている、そんな女子を後ろから物色している中央周辺の男子校男子。
『ぶっちゃけ俺ドーブツ苦手なんだよな』
『俺は猫アレルギーだ』
『えっ。じゃあこの企画ほぼ拷問じゃねーか』
『いや、好きなんだ、でも抱っこするとクシャミが出て体が痒くなる』
一番後ろでだらーんとイスに座っていた冬森は、天音の無情なる性に同情しつつ、その肩に頭を乗っけてアメショがごろごろしているのを眺めた。
『代わりに俺のこと抱っこすりゃいーさ』
『え?』
『なんでもねー』
「んむッ」
深くキスされながらボクサーパンツの中でペニスを甘やかされる。
重なった唇の狭間で絡み合う舌先が時に見え隠れした。
膝立ちがきつくなって、天音にしがみついたら、背中をちょくで撫で上げられて。
爪先で背筋を浅めに引っ掻かれた。
ぞくぞくぞくぞくッ
「ふぅぅぅぅっ……あ、天音ぇ……」
『片付け、だりぃ』
『今日はお疲れ様、冬森君、よく頑張ったね』
『はぁー』
『ご褒美として晩御飯でもご馳走しようか?』
『打ち上げあるんでケッコーです』
そう、この後はクラスメート複数とカラオケで打ち上げの予定だった。
でもあんまり気が乗らない。
てかめんどくさい。
美化委員の清掃活動のため現在教室に天音の姿はなかった。
画鋲で風船を無造作にバンバン割りながら、冬森は、今日いっしょに天音と飯食いてーと、何となく思う。
『なー、今日の打ち上げパスするわー』
『えっ。女子に冬モン来るって言っちゃったんだけど』
『女子いんのかよ、知らねーよ』
天音、飯、付き合ってくれっかな。
「……これ、くすぐったいのか?」
「ひッ! だ、だめだめだめだめ……ッ!」
背骨の溝を爪の先でカリカリくすぐられる、ぞくぞくぞくぞく、腹の底がむず痒くなる。
些細な刺激が下半身に直結する。
天音の手の中でさらに張り詰めてしまう。
とろとろになってしまいそうな。
「それやめろッ! やだって……天音ぇ……ッ」
『夕食? 打ち上げじゃなかったのか?』
『めんどくせーからやめたわ、女子来るって言うし、打ち上げっつーか合コンみてー』
『……どこに行こうか』
『! パン屋はもう閉まるし、ファミレスでいーんじゃね?』
「わかった、嫌ならしない」
聞き心地のいい低音ボイスがすぐ耳元で流れて冬森はクラクラした。
う。
カリカリ、やめられんの、あれかも。
もっとしてほしー……かも。
「や、やっぱ……」
「なんだ?」
「も、ちょっと……して、みろ、さっきの」
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