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12-冬森がにゃーしちゃうゾ

「冬森、飲んだのか?」 「ん」 「まだ残ってるんじゃないか? ほら、出していいから」 天音の手が冬森の顎の前に差し出された、口内にまだ残っているなら「ぺっ」しろ、と促してくる。 冬森は首を左右に振った。 「ぜーんぶ飲んだわ、ほら、あーん」 「……うがいしてくるか」 「別にいー」 唇だけ雑に拭って、ふーーーっと一息つき、冬森は床に座り込んだままソファに両腕を乗っけた。 教室の机で寝るみたいに片頬を片腕にくっつけてソファに座る天音を見上げる。 「天音、お前って、ほんと」 「なんだ……?」 「きれーだな」 黒髪眼鏡男子は思ってもみなかった褐色男子の言葉に一重まなこを瞬かせた。 冬森が猫みたいに自分の手をフンフン嗅ぎ始めると微かに失笑した。 「俺の匂いがすんな」 「匂い、って……個人差あるのか?」 「あると思うけど。俺が天音にマーキングしたみてー」 そう言って冬森は天音の関節の浮き出た手首をとり、長い指を、ぬるりと舐めた。 「お前、ページの捲り過ぎでこーいう指になったわけ?」 「……冬森、くすぐったい」 また少し苦しげな顔をする天音をちらりと見、イタズラをやめられずに指二本を口に含んだ。 ぬるぬるした口内で温めるように天音の指に舌を這わせる。 「んぶ、お前の指、うま」 えろあほ臭ぷんぷんな流し目でそう呟いて、ゆるゆる噛んで、ペニスに先程したように唾液をふんだんに塗りたくった。 「……偏食にも程がある」 「猫ってこんな風に舐めんだろ?」 「……そんな風にやらしく舐めないはずだ」 「にゃー」 もしも村雨や夏川が目の当たりにしていたならば即座に押し倒してモノにしていただろう、冬森の、まさかの猫鳴き真似(似ていない)。 「猫好きなのに猫触れねーなんて、かわいそ、代わりに俺が天音と遊んでやるよ」

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