41 / 147

12-2

爪に覆われた指先に加減して噛みつく。 硬い爪と柔らかな指、それぞれ違う感触を上下の歯で愉しむ。 とんだイタズラえろあほ冬森猫を天音はそっと叱った。 「こら……」 どんだけ甘いんだよご主人様的な天音、イタズラえろあほ冬森猫の唇から指を引き抜けば、唾液の糸がぷらーんとぶら下がった。 「にゃー」 「全然、似てない、冬森」 「にゃー」 冬森はソファに座る天音にのしかかるように乗り上がってきた。 173センチで華奢じゃない褐色男子は飼い猫、というより、クロジャガーかクロヒョウといった肉食ネコ科に近いものがあった。 「きたねー雑巾、真剣に洗ってたときから」 「……いつの話だ?」 「お前の手、味見してみたかったのかも」 かろうじて引っ掛かっていた制服ズボンが完全に脱げ落ちた。 丸みもない、柔らかくもない、全くもって男子高校生らしい健やかな足がモロ出し状態になった。 「俺、あっち行きてー」 冬森が顎で指し示した先はワンルーム隅に設置されたベッドだった。 「あっちがいー、天音」 「……」 「お前、()?」 「……」

ともだちにシェアしよう!