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シャツの襟で隠れていたはずの、褐色首筋のキスマークを発見した夏川は、じろじろじろじろ視姦した。 「うっわ、こんなわかりやすいとこにつけるとか、童貞かよ、だっさー、へったくそー、どんだけ所有欲持て余してんの、ガキかよ、よーしもっかい言っとこ、童貞かよ!!」 これは俺に言っているのだろうか。 (その通りです) 夏川は俺のことが嫌いなのだろうか。 (その通りです) 居眠り冬森に抱きつく夏川をすぐ隣の席から直視している天音、そんな天音を綺麗さっぱり無視して、夏川は。 「俺もつけちゃおっと」 ちゅぅぅぅぅぅう!! 「ぎゃ……ッ!」 冬森は堪らず飛び起きた。 未だにぺちゃぱいをもみもみしながら、天音の痕を自分の痕で上書きした夏川は、してやったりな顔でやっと当の天音を見た。 「べー」 「……」 「わ~こわいよ~根暗眼鏡が睨んでくる~汚物でも見るみたいに俺のこと睨んでくる~」 「いい加減にしろ、夏川ぁ」 「冬森の無料おっぱいもんで落ち着こっと」 「有料に決まってンだろーが、それ以上もんだら料金発生すっからな」 夏川にべったべたに甘えられて足蹴にするでもなく、振り払うのも億劫で眠たくてだるそうにしている冬森を。 天音はちょっと切なげに眼鏡越しに見つめたのだった。 「今日、夏川に七回あっかんべーされた」 「ぷ。あいつ、お前にビンタされたの根に持ってんだろーな」 「……冬森、今日何が食べたい?」 「肉!」 放課後、二人はスーパーマーケットに来ていた。 「天音んち行きてー」と冬森が言うので、夕食をご馳走しようと、天音はアパートから近い最寄の店まで材料を買いにきたのだ。 土日は手作りのものを食べさせてやれなかったから。 今日はちゃんと作って冬森に食べてもらいたい。 「鶏か豚か牛か」 「ぜんぶー」 「全部?」 「うそうそ。何でもいー。お前が作んのなら何でも」 多くのレディーが行き交う店内で物珍しげに辺りを見回し、制服姿で買い物カゴをぶら下げてお肉を物色しているお買い物天音の姿をちらりと見、冬森は、きゅんきゅんしてしまう。 これ、俺の嫁です、どちゃくそ自慢の。 あれ、俺の方が嫁になんのか?

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