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あほあほ冬森が起きたのは夕方前だった。 いつの間にかコタツにINしていて、斜向かいでは日中用の部屋着に着替えて眼鏡をかけた天音がコーンクリームスープを飲んでいた。 「もらった、ありがとう」 昼食を食べ損ねていた冬森は顎下にマスクをずらして買ってきたパンとバナナを食べた。 顔色が大分よくなった天音は、冬森が半分割って寄越してきたバナナをもそもそ食べ、ぬるくなってほんのり甘く感じられる白湯で薬を流し込んだ。 「泊まっていこーかな、俺」 「あのな、だめだ、伝染るから」 ぽかぽかコタツでぬくぬくな冬森、わざとらしく拗ねるように天板にうつ伏せて「ケーチ」と言った。 天音は苦笑する。 まだ外は明るい。 日暮れが少し遅歩きになり始めた冬の前半。 投げ出されていた褐色指に、ふと、骨張った長い指が浅く絡まった。 「でも嬉しかった」 寝起きでまだちょっとふわふわしていた冬森の視界に天音の笑みがゆっくりと写り込んだ。 「今日は来てくれてありがとう、冬森」 あ。 どーしよ。 一瞬で発情キタ、これ。 「…………冬森?」 「ちゅーさせて、天音」 「ッ……だめだ」 「じゃあシよ」 「おい……冬森……」 「一回でいーから、時間かけねーから」 「……」 「シよー、天音」 シたいシたいシたいシたい全開で手を握ってきた冬森から、天音は、しんなり黒髪をさらりと首筋に滑らせて顔を逸らし、ポツリと返事を。 「………………一回だけだ」 まだ窓の外が明るい時刻。 コタツに下半身をINさせた天音。 座椅子に背中を押しつけてさっきからぶるぶる仰け反りっぱなしだ。 一方、冬森はと言うと。 上半身をコタツにINさせて、ぽかぽかぬくぬくあったかい中、天音のペニスを口内で献身的にあっためていた。 「ん……いつもより熱い、お前の」 唾液で糸引くくらいに全体をたっぷり濡らすとコタツからもぞもぞ這い出、天音を床に仰向けに寝かせる。 膝上から爪先までコタツにINした状態の天音に跨る。 「ッ、冬森、マスクをちゃんとしてくれ」 「色んな意味で今更じゃね?」 「……いいから……してくれ」 冬森は顎下に追いやっていたマスクを今一度ちゃんと鼻上まで装備した。 そうして。 「ふぁ……っ天音……ッすげッ、ぃぃ……ッ」 普段、重たいからと天音が敬遠しがちな騎乗位。 今日一日ガマンしていたムラムラを解消させようと冬森は夢中で腰を振った。 マスクで少々息苦しいが病人天音のお願いを守って外しはせずに、いつにもまして熱く感じるペニスをえろあほアナル奥で抱き込み、腸壁でしごかせた。 途中で暑苦しくなって天音に乗っかったままセーターを雑に脱ぎ捨て、マスク下でよだれをだらだらさせて、がむしゃらにグラインド。 カウパー大放出中のえろあほペニスを好きなようにシコシコしごいた。 「ふゆも、り……ッ」 「あーー……お前に中出しされたら……風邪菌、伝染(うつ)っかな……? ケツから伝染っちゃうかなーーー……?」 「……こら……っ」 「ン、このまま……ッ俺に伝染して治せよ、天音……ッッ」 青白かった頬が汗ばんで紅潮していく様を満足そうに見つめて冬森はより激しく腰を動かした。 「ッ……こんなの、も……う……」 「ぁッ、早く……ッ早く……ッ早く……ッッ!!」 俺といっしょに、お願い、天音。 マスクの下で声にならないおねだりを唱えて、冬森は、すぐそこまでせり上がってきた吐精感に危うげに背筋を痙攣させた。 「あ……ぁ、いく……ッッッ!」 「ッ、ん……ッ……冬森……」 「出欠をとるよー、天音君」 「はい」 「……、……、冬森君、は、風邪で休みだね、先週まではあんなに元気そうだったのにねぇ、どこかで誰かに伝染されたのかなぁ」 「……」 その日、天音は冬森宅へお見舞いへ。 「ゲホゴホ……天音ぇ、伝染してもい……?」 「悪循環だ、冬森、今日こそ性欲は堪えろ」 「……ゲホホ」

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