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わいわいがやがやな昼休みの教室、窓際の席。 「法事で離島に?」 「ん。親どっちも」 消しゴムに地図が書かれているパン屋のマヨ系パンをぱくつきながら冬森は頷いた。 「そんで、俺、いつも天音んちにお泊まりさせてもらってんだろ? だから今日は天音が俺んち来いよ」 「え?」 「うるせーちいせー、周太っていう激バカ弟がいるけど無視していーから。着替えとか貸すし。あーでも俺のだと小せぇか、クソコタの置いてった服でも引っ張り出してくっかな」 「クソコタ……まさかそれがお兄さんの名前か?」 「夜はピザでもとればいーし」 「あのな、冬森、まだ行くとは言っていない」 どんどん話を進められて置いてけぼりの天音に冬森は「あ」と我に返ったような顔をした。 「ぱんつはさすがにムリだよな、コンビニで買ってけばいーんじゃね?」 明らかに浮かれている冬森に眼鏡男子は一重の純和風まなこを苦笑と、そっと、愛しさで満たしたのだった。 がちゃり 「あ」 「あれー、なんか変なのがいるなー、勝手に窓から入ってきちゃいまちたかー?」 「毎日毎日うるせー激バカ兄貴……この人、この間、見舞いに来た人だ」 「こんにちは」 「兄貴の彼氏?」 「……」 「バーカ、彼氏どころじゃねーわ、嫁だ嫁、俺の嫁」 到着するや否や玄関先にてこの会話、天音は思わずため息をついた。 そんな嫁のため息など聞き流し、冬森は天音の腕をとって我が家へお招き、弟の周太を押し退けて二階へ直行しようとした。 「あ、そーだ、兄貴」 冬森と同じ褐色肌、学校の生活態度や成績は冬森よりもちゃんとしていて。 下半身中毒だった冬森の悪影響を受けることもなく彼女イナイ歴=年齢の中学生は不肖の兄を呼び止めた。 「飯はピザでいーんじゃね? お前に任す」 「やったぁ。じゃなくて。あのさ」 「今から二階立ち入り禁止な」 「えっ、なにそれっ」 周太は階段下で赤くなった、天音は呆れて物も言えない、上機嫌な冬森は自分の部屋に入ると天音をベッドに座らせて。 嫁のお膝にまっしぐら。 「……冬森、重い」

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