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「俺はいい。みんなの荷物を見ている」
「俺らが代わりに見とくから行ってこいよ」
「金槌なんだ、だからいい」
「あ!」
「ッ……ンだよ、いきなり大声なんか出して、秋村?」
珍しく急に大声を上げた、日頃はクールイケメンな秋村、自分が日焼け防止に羽織っていたシャツを脱ぐなり春海にせっせと着せ始めた。
「……なぁ、何してるのか聞いていいか、秋村」
「忘れていました、春海の乳首が皆に視姦されてしまいます、うっかりしていました」
春海は着せられたシャツを意地でも脱ごうとする、秋村は冷静に阻止する、天音はどうしたものかと二人を眺めている、そこへ。
「天音ー食うかー?」
露店でフランクフルトをやたら買い込んだ冬森がやってきた。
カラフルな膝丈の花柄海パンをすんなり着こなして、足にはビーサン、燦々と日差しの照りつけるビーチがよく似合っていた。
「冬森ー♪ 待って~♪」
胴体に浮き輪を引っ掛けて冬森の後を嬉しそうにぴょんぴょんついてくるのは春海・秋村と同様に冬森と付き合いの長い夏川だった。
女の子めいたポニーテール結びがよく似合っている。
「ありがとう、一つもらう」
「俺にもくれ、冬森」
「僕にもください」
「お前等は金寄越せ」
フランクフルトをもぐもぐ食べる男子高校生ら。
傍目には極普通の健全な十代仲良しグループに見えるのだろうが。
「春海、春海がフランクフルト頬張っているところ撮影してもいいですか?」
「冬森、冬森ぃ♪ ねーねー二本同時に食べてっ? 肉の棒、二本同時に食べてみてっ?」
紛れもなく不健全な下心がいくつか垣間見えた。
「おいしかった、冬森、ごちそうさま」
「ん、こっちもうまかったけど」
「うん?」
「お前のふくらはぎもうまそ」
日の下では見慣れない天音の、砂がくっついたふくらはぎをガン見し、冬森はニヤニヤする。
天音は呆れたように首を左右に振ると微苦笑した。
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