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24-冬森が天音が初二人旅行に行ってきたゾ

新学期が始まった。 冬森達は高校三年生になった。 「眠ぃ、だりぃ、きちぃ、腹へった」 体育館で開かれた始業式が済み、教室に戻って担任がやってくるまでの間、多くのクラスメートが春休みの思い出話で盛り上がっている傍ら。 冬森はひんやり冷たい机に突っ伏していた。 ブレザー全開、緩みまくりなネクタイ、チラリと覗く褐色の背中。 「冬森ぃっ、なんでまた違うクラスなの!?」 「冬森、ちょっと見ない間に日焼けしました?」 「いや、元からだろ、地黒だろ」 冬森フェチの夏川、春海や秋村、また違うクラスになった友人らがやってきても完全無視、気怠そうに机に突っ伏したままでいた。 再び冬森と同じ3Dクラスになった天音は。 友達に囲まれた褐色男子にチラリと視線をやった。 すまない、冬森……。 さて、どうして天音が冬森に心の内でそっと侘びたのかと言うと。 二人は一昨日・昨日と一泊旅行に出かけていた。 急に冬森が思い立って計画を立て、狙いをつけた近辺の宿はほぼ埋まっていて微妙な日程しか空室がなく、まぁ仕方ないかと予約をとって。 電車を乗り継いで村営バスに乗って海岸線を走り抜けて山に入れば峠を越えて目的の温泉地へ。 「やっぱり多いな」 「そりゃー春休み終了目前だから。思い出作りしたいんじゃねーの」 一日分の着替えとお財布だけの軽い荷物を持って、お土産店も足湯コーナーも飲食店もどこも混雑しているメインストリートを抜け、公式サイトの地図を頼りにして旅館へ到着。 「おお。思ったより広ッ」 部屋に案内された冬森は俄かにテンションUPした。 何せ高校生、お金がない、だから露天風呂つき部屋でも部屋食プランでもないリーズナブルな8帖和室をとっていた。 それでも広縁の窓辺から見える緑いっぱいの景色は清々しく、濃厚な芽吹きの香りに満ち、男子高校生二人の昂揚感に拍車をかけた。

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