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「風呂行こーぜ、天音」 「ああ」 二人だけの初めての旅行。 一つ一つの、ほんの些細な小さなことが大きな感動や興奮に変わる、夢みたいな時間だった。 食事前に一風呂浴びて、レストランでの夕食が終わり、またお風呂に入って一回目よりも時間をかけて満喫し、部屋に戻ってみたら。 バーーーーーン!! 畳に並んで敷かれたお布団。 あまりの露骨さ(?)に天音はちょっとたじろいだ。 たじろぐ眼鏡男子と反対に冬森は「ふかふかふとーん!」と明らかにテンションUP、手前のお布団にダイブした。 「おーーーーきっもちいーーーー」 173センチで痩せ型ではない、程よくしっかりした肉付きの冬森は、さらさらした肌触りの枕を抱きしめてゴロゴロ、ゴロゴロした。 白地に縞柄の浴衣がべろんと捲れて艶めく褐色太腿が丸出しに。 胸元もべろんと肌蹴て……あとちょっとでイケナイ片乳首が見えそうな。 「俺、こっちの布団な」 突っ立ったままの天音を見上げて冬森は笑った。 正直、天音は、もう居ても立ってもいられなくて。 今日一日いつになくはしゃいでいた褐色男子がずっと愛しくて堪らなくて。 「何だよ」 自分の真上にやってきた天音に冬森は性的に笑いかけた。 「お前の布団、あっち」 背中から抱きしめられて首筋に唇を押し当てられると、くすぐったそうに肩を震わせ、眼鏡をかけたまま入浴していた天音を仰ぎ見た。 「シてぇの?」 「……冬森は?」 前よりも伸びた前髪越しに純和風一重まなこでじっと見つめられて。 冬森はいつになく色づいていた眼鏡男子の唇を塞ぐ寸前、答えた。 「シてぇに決まってんだろ、今日ずっとソレしか考えてねーよ」 「あれっ、冬森なんかニヤけてる!」 机に突っ伏した冬森を真横から覗き込んでいた夏川、さすが冬森フェチだ、目敏い。 「う・る・せ・ぇ」 冬森はさらにうつ伏せた。 親しい友達に、今、自分がどんな表情をしているのか見られないよう両腕でしっかりガードした。 はぁ。 何度思い出しても。 一昨日の天音、激し過ぎたわ。

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