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すまない、冬森……。 朝食もとらずにチェックアウトぎりぎりまで手離すことができなくて、本当、悪かったと思ってる。 『パン食い放題だってよ、あそこの店よりウマイかな』 前日からあんなにパンを食べたがっていたのに……。 「クラスが違うコは自分の新しい教室に戻りましょうねー」 再び冬森と天音の担任になった村雨先生がやってきた。 冬を抜かした春夏秋がそれぞれの教室に戻っていく。 「ん。寝ているのは冬森君かな? 春休み、昨日まで羽目を外し過ぎたのかな」 後半のHRが始まって年間行事の説明に入った、三年生にとっての一大イベント、その名も「受験」の話になれば大学進学を目指す生徒は引き締まった表情になった……。 「冬森」 掃除時間に突入しても立ち上がろうとしない冬森に天音が……声をかけてきた。 机に突っ伏していたあほ男子が腕の隙間からチラリと窺えば。 「今日、終わったら、あの店のパンを食べに行こう」 冬森は……笑ってしまった。 別に旅館でパン食えなかったからって怒ってるわけじゃねーし。 予想してた以上に旅行が盛り上がって、なんか、教室で改めて顔合わせんの恥ずかしくて、視線外してただけっつーか。 また同じクラスになれてニヤニヤしっぱなしのツラ、見せれたモンじゃねぇっつーか。 「ん、食う」 また二人で旅行行こーな、天音?

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