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25-冬森が天音が放課後らぶだゾ

一学期の中間テストを来週に控えた日の放課後。 「腹へったーーー」 「食べると眠くなるだろう」 「天音んち行きてぇ」 「俺の家に来ると眠くなるだろう」 3Dの教室、窓際最後尾の席で天音は冬森に勉強を教えていた。 「オール赤点とったことあるよな、冬森」 「冬森っ、俺よりばかだもんねっ」 「勉強を教えてくれる天音に冬森はもっと感謝すべきです」 そばで問題集を開いていた、中学からの友達である春夏秋に容赦なく野次られて冬森は「うるせぇ」と天音お手製問題集を睨みながら言い返した。 全開ブレザー、ゆるゆるなネクタイ、欠伸を連発してしょぼしょぼな目、先程から実際ぐーぐー鳴っている腹。 それでも投げ出さずに、一問に対してやたら時間をかけてはいるが、ちゃんと解いていく。 「この公式を当てはめるんだ」 自分のために天音が作ってくれた全教科問題集と冬森は必死で格闘していた。 「よーし。じゃあ俺も勉強しよっと! あ、間違えちゃった! 冬森ぃ、この消しゴム貸してね!」 「ばッ! やめろソレ使うんじゃねぇ!」 身を乗り出した冬森、自分のペンケースから勝手に消しゴムを取り出して使用しようとした夏川に全力ゲンコツをお見舞いした。 「ぴーーー」 「今のは夏川が悪い」 「冬森の宝物だとわかっているのに使おうとするからです」 ゲンコツされてぴーぴー泣く夏川に春海と秋村は肩を竦める。 消しゴムを取り戻した冬森は「宝物じゃねーし、お守りだし」と言い返した。 「似たようなものでしょう」 「あ、そーだ。この地図のパン屋行ってこい。お前ら差し入れ買ってこい」 「いーやーだ」 「そろそろ帰りましょうか。ほら、夏川も」 「ぴーーーーーっ」 春海と秋村が嫌がる夏川を引き摺って帰り、教室に残って勉強していた他の生徒もぱらぱらと帰路について。 夕方五時を過ぎ、緩やかに暗くなっていく窓の外、天井の蛍光灯の明かりが際立ち始めて。 「じゃーねー、冬モン、天音」 「おーぅ」 「また明日」 冬森と天音は教室に二人きりになった。

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