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中間テスト最終日。 「お、終わった」 「答案が返ってくるまで安心できない、冬森」 「……お前いつから鬼嫁になったんだよ、天音ぇ?」 机にべちゃっとうつ伏せて脱力している冬森の元へ、廊下で待機していた夏川がダッシュでやってきた。 「冬森ぃ♪ 今日どっかランチ行こー!」 いつものように冬森の背中に平然と抱きついてゴロゴロし始める。 「重てぇ、夏川ぁ」 テスト終了を噛み締めている冬森もいつものように夏川を放置している。 「夏川」 「童貞眼鏡クンに用はないでーす、シカトシカト♪」 「今から掃除だぞ」 何か固いモノで肩を小突かれて面倒臭そうに振り返れば、夏川の眼前に突きつけられたモップ、ただし交換のため肝心のヘッドが外された、つまりただの長い棒、下手したらただの凶器。 「ひっ」 長身天音がただの長い棒を持っているとちょっとした迫力がある。 眼鏡男子への嫌がらせを自分でも認識している夏川の目には恐怖に写ったに違いない。 「すまない、丁度交換中だったから。ただ掃除をさぼるのは美化委員として放っておけない」 天音は新品ヘッドをてきぱき取り付け始め、夏川はおっかなさそうに警戒しつつ悔しそうに退散していった。 「冬森、掃除だ」 「んが」 「冬森」 「んぎゃッッ……あ、おぃ、天音……」 三年生になっても引き続き美化委員をやっている天音は、重たい褐色生徒を背後から抱き起こし、寝かかっていた冬森は目を剥きつつも滅多にない眼鏡彼氏の強引さにちょこっと、いや、かなりときめいたのだった……。

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