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夜の真ん中。 子供部屋でなかよく一緒に眠る幸と唄。 ときどき寝相の悪い幸に手なり足なりドスンとやられて「うー」と寝苦しそうにする唄だが、ぎゅっと抱きつかれると、唄もぎゅっと抱き返して、また安らかな寝顔に戻る。 一方、もう一つの寝室では。 「もう……いきなりなのか、冬森」 ベッドに押し倒された天音は、乱れた長い前髪越しに、ヤル気満々で我が身に迫る冬森にたどたどしく問いかけた。 まだ入浴も済ませていない二人。 幸と唄がすっかり寝付いたのを確認するなり、えろあほと化した冬森は有無を言わさず天音をベッドへ誘導し、ろくに服も脱がずに乗っかってきた。 天音、髪、伸びた。 時々後ろで結んだりすんの、あれ、すげーイイ、堪んね。 あれで台所で料理されたら毎回ガマンできなくてケツ揉んじゃうんだよな。 まー俺の嫁だし? 家庭内セクハラ、円満の秘訣じゃね? 「あ……ッ」 「ん……せま……きゅーくつ……ッ」 「……はぁ……ぁ……」 一先ず先端だけ呑み込ませて様子を見てみる。 セーターも着たまんまな天音は片方の手の甲で唇を押さえ、喘ぎ声を必死で我慢していた。 前戯もできないくらいすぐにシたくて至ったわけで、まだ準備が整っていなかった、乾いた孔。 冬森は掌に馴染ませた自分の唾液を露出している竿から根元にかけ、何回かぬるぬる纏わせた。 そうしてゆっくり天音の奥にペニスを進めていく。 根元まで沈めきる。 「ぁ……冬森……」 ずれた眼鏡、純和風一重まなこがじんわり濡れている。 聞き心地のいい声は弱々しげで途切れがちだった。 あー堪んね。 天音は俺の嫁、まじで、ガチで。 「……天音」 猛烈にキスしたくなって上体を倒した冬森だった。のだが。 「……ッ、くしゅんッ!」 「んぎゃ……っちょ、締まるッ、いきなりクシャミすんなよっ?」 「は、鼻が……くしゅん!」 冬森がキスしようとしたら天音はクシャミ連発を始めた。 アレルギー発症中のようだ。 しかし幸は猫に触らせなかったし、冬森自身だって別に……。 『冬森ぃ♪』 「あ」 あいつだ、夏川だ、猫カフェ勤務のあいつに抱きつかれて毛がついたのかも、そういや午前中は仕事してたって言ってたよーな。 幸も抱きつかれてたけど、今日は天音抱っこしてねーから、今、俺からもろに……。 「くしゅんッ」 「うッ……しゃーねー……俺、そっこーシャワー浴びてくるわ」 「……え」 「キツイだろ?」 冬森のペニスに体の奥底を抉じ開けられ、その熱をジンジン痛いくらい感じ取っていた天音は。 ぎこちなく首を左右に振った。 「……いい、このままで」 「……だいじょーぶかよ?」 「が、我慢する……続けて……いい」 あー俺の嫁、堪らん、愛しー。 冬森は天音のお言葉に甘えて続行した。 痕を刻みつけるように最奥をしっかり突いてくるピストンに、天音は、時にきつく瞼や唇を閉ざし、時に表情をしどけなく弛緩させた。 久しぶりの交わりを心身ともにどこまでも迎え入れた。 「あーーーー……」 冬森のだらしない呻き声が聞こえると閉ざされた瞼がぴくぴく。 感じてくれているのかと思うと、自分も、さらに感じてしまう。 ピストンが加速するとつい冬森にしがみついてしまう。 「あーーー……天音……ッいき、そ……ッ」 「ふ、ゆも、り……ッ」 そこで。 堪えていたクシャミが暴発。 「ッッくしゅんッッ!!」 「うあッッ!!」 冬森は天音の真上で腰付近をぶるぶる痙攣させた。 不意打ちなる締めつけに刺激されて、フライング気味に……達してしまった。 「……は……アッ……天音ぇ……いきなり締めんじゃね……ッ」 「ッは……ぁ……すまない……」 「はぁ……、……ン」 「あ……」 最奥まで捻じ込まれていた冬森のペニスがずるりと引き摺り抜かれた。 ぴたりと張りつく薄い膜の先っちょに溜まった白濁の雫。 「……はぁ……はは……おら、ティッシュ」 コンドームといっしょにそばに置いていたティッシュケースを枕元に置かれて、天音は、赤くなっていた鼻を覆ってから。 ケースから零れていたコンドームを一つ、長い指先につまんでピィィッと包装を破り、屹立して熱く脈打つペニスに纏わせた……。 猫毛が付着していたかもしれない服を全て脱いだ冬森。 まだ服をほぼ纏ったままの天音から、背後から、熱烈に。 全裸となってシーツに縋りつく冬森にぴったり覆いかぶさった天音は腰だけを波打たせる。 突き上げながら、冬森のコンドームを外してやり、自分の奥で達したばかりのペニスをちょくで愛撫する。 シーツが汚れるものの、直接触れられたい欲求が勝った冬森は、自分も腰を小刻みに揺らめかせて愛撫摩擦を自らも強めた。 「は……っすご……ッ……天音、溜まってた……?」 容赦なく雄膣奥を連打してくる天音に魘されるように問いかければ、冬森には見えない背後で彼は律儀に頷いた。 「……冬森も……もう、熱い……」 掌に捕らえた肉芯をキュゥッとやや強めに握りしめる。 途端にビクビクと波打った褐色背中。 よく締まった尻丘はずっと微痙攣を続けていた。 「ふぁ……っちゃん、と、しごけよぉ、バカ……ッ」 「冬森、いきそうだったから……俺といっしょにいってほしい」 「ッ……あっあっあっ……!」 握りしめられたまま雄腟内でのピストンが勢いづいた。 冬森の全身はぴくぴくぞくぞく。 尋常じゃない火照りに蝕まれて瞬く間に発汗し、もどかしげに身悶えた。 「あま、ねッ……も、早く……ッ」 「ッ……うん、冬森、いっしょに」 止まっていた片手の愛撫が鮮やかに再開された。 最愛なる天音に前後を同時に攻められて冬森は咄嗟にシーツを噛む。 「んぅーーーーー……ッ!!」 嫁であり旦那様でもある彼と共に絶頂を迎えて滲み出た声はシーツに溶けて、消えた。 「あっごら、幸!」 午前中、ぽかぽか縁側で仲睦まじく遊んでいるのかと思いきや。 唄にしがみついた幸がその片耳をがじがじかじっていた。 「ごらぁッ! 俺がお前の両耳かじるぞ、幸ッ」 「わー! おとぉさんにたべられるー!」 「ぐすん」 「唄、大丈夫かい」 「ぐすん、おみみ、かけてませんか、ぱぱ」 「大丈夫、欠けてないよ」 「おかぁさん! おみみかじる!」 「幸、お耳は音や声を聞くところで齧るものじゃないよ」 「まま、じゃあ、おめめやおくち、なにするとこですか」 「おめめは唄と幸を見て、おくちはチューするとこ、なー、天音?」 「あのな……子供の前で堂々とキスをせがまないでくれ、冬森、あと痛いよ、幸」 「がじがじ!」 毎日ぽかぽか家族団欒日和。 【オマケ/別ver】 「じゃあ出欠とるね、天音君」 「はい」 「……、……、冬森君」 「はぁぁぁぁい!!」 冬森が「はい」と答える前に背中に括りつけていた幸が張り切って返事をした。 「ごら、幸、静かにしとけ」 「いいんだよ、冬森君、それにしても本当に君そっくりで幸君はかわいいね」 「サーセン、保育園の天井が真夜中落っこちたとかで急に工事始まって、俺んち日中誰もいねーから連れてきちゃいましたー、みたいなー、です、サーセン」 「うんうん」 教卓からわざわざ窓際最後尾の席までやってきた村雨は、冬森の背中に括られて「うーうー」している幸に満面のデレ顔に。 「本当にかわいいね」 「近ぇよ、ちゅーすんじゃねーぞ」 「村雨先生、幸にわいせつ罪をはたらいたら訴えますね」 お行儀いい唄を膝上に乗せて隣に座る天音、すかさず担任を牽制するのだった。 ■おうちにて 「天音ーごはんまだー?」 「おかぁさーん、はらへったー!」 「ぱぱ、ごほん、よんでくださいです」 「後少しで出来上がる、冬森、幸。ご本はご飯を食べた後に読もう、唄」 オカン天音、ぐーたら冬森。 「はーい、あなた、あーん」 「あのな……本当にやめてくれ、冬森」 天音にデレたがる冬森をまねっこして、幸は唄の口にスプーンをぐいぐいぐいぐい。 「唄ぁ、あーん!」 「やー」 ■クリスマスにて 「うま、このチキンまじうま」 「幸もっ幸もたべぅー!」 「ケーキ、唄はどれが食べたいかな、サンタさんのところかな、それともトナカイさんのところかな」 「ごらっ幸っチキン取り過ぎだぞっ」 「ぜんぶ幸のー!」 「ぼく、あまったやつ、たべるです」 「じゃあ俺サンタんとこ」 「あのな、冬森」 「うそうそ、ほら、唄? 新しい絵本だぞ」 「わぁ」 「ままんとこおいで、ほら、唄はケーキ食って、俺が読んでやっから」 「まま」 「幸もー!」 「……冬森」 「んんんんん? 天音、これ何て読むんだ?」 「……冬森」 やっぱり毎日ぽかぽか家族団欒日和。

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