103 / 147

29-2

「夏川ぁ、寝たら死ぬパターンじゃねぇの、それ」 「冬森であったまろーっと♪」 「重てぇよ」 「その豆乳、冷たいんだよな、あったかいの飲めばいいのに」 「春海、夏川はきなこ豆乳バカですから」 「ただのバカだろ」 「冬森ひっど♪」 お膝に乗って抱きついてきた夏川を放置して冬森は隣の天音に顔を向けた。 「クリスマス、別にいつも通りでいーよ、天音」 セーターにブレザーを着込んだ冬森にそう言われ、黒セーター姿の天音は眼鏡をかけ直し、隣の褐色男子を純和風まなこでそっと見つめ返した。 「いつも通り、でいいのか?」 「ん。いつも通り。お前んちでダラダラ」 褐色男子と眼鏡男子の大袈裟じゃない、わざとらしくない、ありのままのらぶらぶっぷりに春海と秋村は自然と笑みを浮かべた。 一方、冬森に延々と未練タラッタラな夏川は断然面白くなく。 「ガルルルルル」 冬森にしっかり抱きついて天音を威嚇し、空になった豆乳パックまで投げつけやがった。 天音は特に何も言わず豆乳パックを可燃物専用ポリバケツへ捨てに行く。 「夏川ぁ、次に天音のことパシリに使ったら床に投げんぞ」 「童貞眼鏡さー、ほんっと、冬森のコトどんだけ知ってんの、ちゃーんと理解できてんの?」 「全部知ってんぞ」 すかさず冬森に回答されて夏川はぷーーーっと頬を膨らませる。 「それに天音、もう童貞じゃねーし、とっくに俺で卒業したし」 「冬森、みんなの前でそういう話はやめてくれ」 「天音、周知の事実ですから。僕達は気にも止めません」 「夏川さ、天音いびり、いい加減もうやめろよ」 秋村のフォローに天音は複雑な表情を浮かべ、春海に注意された夏川は仏頂面と化した。 「なんで春海も秋村もアッチの味方すんの?」 「天音の方が性格いいから」 「春海に同じく、です」 「Σ(゚д゚lll)」 夏川はガーンな顔になったものの、瞬時に黒笑顔に切り替え、春海と秋村を交互に見やった。 「よっく言うよねぇ~。春海だって秋村だって冬森におちんちんブッ込んだ仲なのにね~?」 黒歴史なる過去を掘り返されて今度は春海と秋村が仏頂面と化した。 夏川に全力でしがみつかれている冬森はめんどくさそうな面をして背もたれに仰け反ったままでいる。 「俺は冬森のおちんちんにポッキーだって突き挿したことあるしぃ」 「は?」 「ポッキーなんて突き挿したんですか?」 「バイブまで使って尿道開発してあげたのは俺だしぃ。あ、それに潮噴きもっ。冬森にお潮噴かせてあげたしぃ♪」 「「潮噴き」」 経験のない過激プレイを聞き咎めた春海と秋村は思わず揃って復唱した。 「ほらな? お前が知らないコト、冬森にはいっぱいあんだよ? ねーいい加減そろそろ俺に返してくんない? らぶらぶだったんだからさー、俺と冬森」 「おい、夏川ぁ、お前いい加減に、」 がったーーーーーーん 調子こいていた夏川も、夏川を止めようとした冬森も、春海と秋村も。 イスを後ろに倒すくらいの勢いでいきなり立ち上がった天音に釘付けになった。

ともだちにシェアしよう!