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「冬森、痛くないか……?」
自分より大きな手にすっぽり包み込まれて。
長い長い五指がゆっくりと絡みついてきて。
優しく、優しく、上下に撫で擦られる。
「い……っ痛く、な、い……っ」
床にあぐらをかいた天音に横抱きされた小さな冬森。
脱がし忘れたモッズコートがずっとカサカサカサカサ、衣擦れを鳴らしている。
下半身は靴下だけで。
片腕で抱くように上半身を支えられて、もう片方の手で、幼さの残る性器を丁寧に愛撫された。
「あっあっ……ちんちんっ……なんかビリビリくる……っ」
ぎゅうっと天音の首根っこに抱きついて、全力で縋りつき、つい腰を波打たせる。
「天音っ天音ぇ……っ」
「……気持ちいいのか?」
眉根を寄せて目を瞑った冬森は天音にスリスリしながらコクコク頷いた。
「ちょ、ちょっとだけ……っ痛いけど……」
「痛いのか?」
離れかけた天音の利き手。
「あっやだ……! やめちゃ、や……っちんちん、もっとさわって、天音……」
それまであーだこーだ懸念していた天音だったが。
いざ冬森に触れてしまうと不安や迷いはパーーーンと砕け散った。
今はただ冬森に感じてもらいたくて、その一心で、小さな褐色男子に触れていた。
「なん、か……濡れてきた……っ? 俺、おしっこもらして……?」
「違う、冬森……心配しなくていい」
かわいい、冬森、すごくかわいい。
「こうなるの……初めてなのか?」
「ン・ン・ン……夢精、は、あるけど……俺ぇ……おなにー、したこと、ない……あぅ……っ……そこ、先っぽ……変……」
発熱しがちな褐色男子の温もりに酔いそうになる。
手の中で確実に火照っていく冬森自身に胸底が焦げつきそうだ。
「っ、っ、っ……?」
天音の懐でブルブルしていた冬森は涙の溜まった双眸を頻りにパチパチさせた。
「な、んか……っくる、きちゃぅ……っ」
込み上げてくる初めての射精感にお腹や太腿が微痙攣を始める。
さらに天音にしがみついて「んーーー……っ」と健気に悲鳴を押し殺す。
「しゃ、射精ぇ、しちゃぅ、かも……っ天音ぇ、おれぇ……いっちゃぅよぉ……っ」
包皮の狭間から覗く先走りで濡れ切った先っぽが手の中で張り詰めた。
「冬森……」
「あ・あ・あーーーー……っっでちゃ……っっ!!」
冬森は自分の掌よりも先に天音の掌によって絶頂を知った。
「ぅぅぅぅぅっっ」
冬森は天音の胸に顔を埋め、全身ビクビクさせて。
滑々した褐色の太腿にショタみるくをぱたぱた散らした。
天音の骨張った綺麗な指を一瞬でとろとろにした。
「はぁ……っはぁ……っはぁ……っはぁ……っ」
頭の天辺から爪先まで火照って冬森は今にも逆上せそうだった。
天音も。
熱くて、熱くて、熱くて。
「はぁ……っ……あま、ね……んっむっ」
猛烈に堪らなくなった天音は初めて自分から冬森に口づけた。
ショタみるくを受け止めたばかりの手で顎を掬い、はぁはぁと喘いでいた唇を自分の唇で覆い尽くした。
舌まで。
吐息のこもった口内に、欲望のままに。
「んむっっっ」
天音の舌先に唇を貫かれた冬森は達したばかりのぺにすをビクリと震わせた。
顎に触れるぬるぬるみるくの感触、想像もできなかった眼鏡男子の欲深な舌遣いに「んっんっんっんっ」と何度も喉を詰まらせた。
泣きそうなくらい、また、股間がムズムズしてきた。
クチュクチュと音の鳴るキスに胸がジンジンして、熱が増すようで。
「……冬森」
少しだけ唇を離して、唾液の糸で繋がった、切なそうに純和風まなこを歪ませた天音に冬森は問いかけた。
「天音ぇ……おれのこと好き……?」
「……好きだよ、冬森」
トイレから出てきた天音はすぐ真ん前で体育座りして待機していた冬森にほんの少し呆れた。
「俺がしてやったのに」
自身の直接指導によってえろ開花した冬森に中てられ、自己処理を済ませた天音は手を洗うと冬森の隣に座り込んだ。
むすっとしている小さな彼の頭を撫で、微苦笑する。
「冬森はやり方知らなかっただろう」
「知ってっけど」
「……うん?」
「兄貴が部屋でシてんの、見たことあっから。何回も」
眼鏡の奥で目を見張らせた天音に冬森はフンッと得意げに笑った。
「騙されてやんの、ッ、いだだだだッ」
両方のほっぺたを抓られて冬森は喚き、すぐに手を離した天音は小さな彼の両手をとってその場から立ち上がらせた。
「冬森、送るから」
「ウチまで?」
「そうだな。心配だから自宅まで送る」
「バカ。ガキじゃねーし。バス停まででいーよ。なー天音」
「うん?」
「次はせっくすしよ」
次の瞬間、ガンっと壁に頭をぶつけた天音に「なにそれかわい」と笑うでもなくガチキュンした冬森なのだった。
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