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32-冬森が天音と冬休みぬくぬくだゾ
冬休みなのに全ッ……然、天音と会ってねぇ。
「天音クンから連絡ないんだって? どっかで浮気してんじゃなーい?」
実家に帰省中の兄、胡太にここぞとばかりにからかわれて冬森はすかさず蹴りを入れた。
「ぅおぇッさっき食べたお餅リバースしちゃうだろッ」
「うるせぇ、さっさと帰れクソコタが」
「なに、兄貴フラれたの?」
「……」
「いででででッ!ちんこ踏んでるッ!弟のちんこ踏んでるって!!」
兄弟二人に制裁を決めながらスマホをチェックする、春夏秋からのどーでもいーメールを受信したのみで、携帯を持たない天音からの電話連絡はやはりなく。
会っていないどころか何の音沙汰もなく、おかげで冬休みも残り僅かだというのに出かける気にもなれず。
天音に限って浮気なんてありえねぇ。
古風な考えの持ち主である眼鏡男子のことを信頼している冬森は自宅待機状態、一人頭を捻りっぱなしであった。
俺と遊び行かねーの?
俺に会いたくなんねーの?
俺といるより小説相手にしてる方が楽しーのかよ?
「あークソッ、しょーもねぇッ……」
いや、待てよ。
すんげー今更だけど。
アイツまた風邪引いてダウンしてるとかじゃねーだろーな?
吐き癖あるし、症状重くて電話もできねー、なんっもできねー有り様で寝込んでるとかじゃねーだろーな?
「俺のクソバカがッッ」
その辺に落っこちていた胡太のモッズコートをトイレ中だった本人に無断で借りて、ポケットに入っていた兄の財布もそのままに、あっという間に外へ飛び出した冬森なのだった。
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