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*-14 マヨネーズ★

***  それから俺たちがまぐわったのは、村に出かけて3日ほどたった晩のことだった。  買い出しに行く前日に、先に書いた通りカミュは具合を悪くし発熱した。カミュはこれまでにも無理が祟ると熱を出すことがあり、バンダリ村に越してきた当初も旅の疲れで数日寝込んだりと、体の弱い少年だった。今回の場合、明らかに俺の脅迫的な発言でカミュを動揺させたことが原因である。  当日は食料が尽きていることもあり、どちらかでも買い出しに行かないといけない状態だった。しかし、カミュは村には行くと断固として譲らなかった。そして、村に着くと薪の売却と食料の買い出しを俺に頼んで、自分は図書館へと速足で向かった。『調べ物』がたくさんあるからだろう。  あいつに言われたすべての用事を終わらせて、集合場所の喫茶店でカプチーノを飲みながらくつろいでいると、窓越しにカミュが手を振っているのに気が付いた。くいっと飲み干し店を出ると、顔を赤らめたカミュがノートを1冊持って立っており、「もう帰ろう」と言った。馬車の中で俺はそのノートについて訊いたのだが、「必要なことを写してきた」と言うだけで見せてはくれなかった。荷台の上で静かだったカミュが気を失っていることに気が付いたのは、小屋に着いてからだった。  その後、カミュの熱は大事に至らず、翌日の昼過ぎには平熱に戻り落ち着いていた。そこから二晩待っていたわけではないが、三日目の夜にカミュが俺を誘ってきたのだ。 *** 「もう準備は出来たよ」  食事を終え、俺が風呂上りに一杯とソファーでウィスキーを飲んでいると、カミュは口をわずかに笑んで俺に囁いた。そのまま俺の隣にすっと座る。 「体は大丈夫か?病み上がりだろ」  俺は腕を伸ばしカミュの額に触れた。平熱のようではあるが、風呂上りだから何とも言えない。少し汗ばんでいるようだ。 「もう平気。今日だってトンテキ2枚も完食したでしょ?」カミュは誇らしく笑う。  薪の実入りが良かったので、今回の買い出しでは肉と小麦をたくさん買うことが出来たし、ウィスキーも買えた。酒は俺の独断だが、カミュは何も言わなかった。内心呆れているかもしれないが、何とでも思え。 「ああ、あれは恐れ入ったな。……本当に大丈夫なんだな」 「うん。僕の体も準備してきたから、今夜やりたい」 「体?体の準備?」俺は訝しげに訊く。 「……穴の手入れだよ。もう、言わせないで」炎のように顔を真っ赤にすると、俺の腰を突く。 「じゃあ、最後まで相手してくれるんだな?」俺はもう一度確認する。 「うん。早くアレンさんのものになりたくてうずうずしてるよ」カミュは熱のこもった瞳で俺を見上げると、ぎゅっと俺の腕を握り締めた。 ***  外は雨が降っている。間断なく窓を打つ雨音は、闇が生み出す幻惑的な妄想から現実に引き戻そうとする。  寝室で俺は下半身を露わにし、薄着のカミュは冷たい床に跪いて俺のペニスを扱いていた。カミュがいつも眠るダイニングには暖炉があるが、この部屋には暖炉がないので毎晩火鉢に炭を持ってきている。寝室全体がしけた感じがするのは、雨だけのせいではなかろう。汗と唾液、各々のフェロモンなどが充満し混沌とした空間を演出していた。ひっきりなしに続く雨音と炭のはぜる音が時折聞こえる以外は、ぴちゃぴちゃとカミュが俺の逸物を犬のように舐める音だけが響く。 「ブロージョブは下手糞だな。……2回目だから期待してないが。まあいい。早く乗ってくれ」 「アレンさん……僕、本は読んだけど、初めてだからね。まだ上手くいかないこともあると思うけど、怒ったりしないでね。一生懸命するし、出来たら褒めてほしい……」カミュは俺の上にまたがりながら、恥ずかしそうに言った。 「わかった。……それは何だ?」 「上手くしゃぶれなかったから、これでごまかすよ」カミュは瓶に入った白いワックスのようなものを手ですくった。 「舐めてみて?」 「え?毒じゃないか?」  俺が心配すると、カミュはペロッとそれを舐めた。そして、すくったところから更に指にチョンと塊をつけると、俺の口に差し入れた。 「ん?マヨネーズ?」  瓶に書かれたラベルがかすかに読めた。じゃがバターを食べたときにかけたマヨネーズだった。 「そう。ローションの代わり……毒なんか使いやしないよ。アレンさんのペニスに塗るんだもの」  そう言うと、カミュは手に薄く伸ばして、俺の陰茎にそれを塗りたくった。マヨネーズを用いた丁寧な扱き上げは、あいつの舌によるフェラよりも数段気持ちよかった。 「本に書いてあったのか?」 「うん。僕の年齢でローションなんて手に入らないからね。代替策だよ。気持ちよかった?僕の方もやらないとね」  カミュは残りのマヨネーズを指でかき取ると自分の後孔の縁をなぞるように濡らしていき、俺の見ている前で中指を一本中に突っ込んだ。 「あっ……」  指をゆっくりと回しながら、マヨネーズを内壁に塗っているのだろう。カミュは自分の指ですでに感じ入っているようだったが、見させられている俺もまた屹立した逸物が一層硬くなっていくのを感じた。 「ん………んん……はぁ……」カミュは目をつむり、眉をしかめて声を漏らす。 「カミュ……」早く来いと俺は急かしてカミュの腕を引き腰に触れた。 「アレン……さん。待って……ああ」  カミュは指を抜くと、俺の睾丸の上で肛門を軸に腰を一回振った。まるで挑発するかのようだったが、彼の顔にそんな余裕はない。 「早く俺の上に……」俺はたまらず懇願した。 「わかってる……」  俺たちはお互いに今にも噴火が起きそうな火山の鳴動を心の中に宿し、血肉が沸き上がらんばかりに興奮し共鳴しあっていた。

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