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16-9 蹂躙★
「あなた達、グルだったんですね……」
カミュは悍ましさに顔をゆがめて、マスクの男を見入った。顔面蒼白である。
「偽りの王子様が通っている魔法学校を監視しないでどうする。君が生意気な生徒たちにまるでゴム毬のように跳ね飛ばされ蹴りつけられたのをギヨームはちゃんと目撃している。君の容姿とその能力なら、魔法学校にも通えるだろうに、あいつらが憎らしくはないのかね」
「あいつらって??」
「勿論、魔法学校にいる体力馬鹿ども、価値のない学生たちのことさ。君より無能な人間が魔法学校に通っている。腹が立たないかい?それと、憎らしいといえば君を学校に通わせてくれない連れのこともかな?」
「連れ?」
「脳筋のイーグルさんのことだよ」
「なんでそれを……」
唯一露出している口元に張り付いた笑みを見て、カミュは誰だろうと必死に思い出そうとする。自分のパートナーを脳筋だなんて言われて、図星だけど黙っちゃおれない。
「ふん。この俺が誰だか見当もつかないみたいだな。協力する気がないのなら、その気になるまで可愛がってやるよ。君がうんと言うまでな」と、そう言うと、男は踵を返して、ギヨームと呼ばれた偽者の警備員の肩を叩き何かを囁くと、階下へと降りて行ってしまった。
今ここには、男の部下が5人。カミュを取り囲んでいた。そのうちの一番下種顔のギヨームが、涎でもたらしたのか手の甲で分厚い口を拭いながら近づいてくる。
「魔枷 は俺の発案なんだ。昔、お前みたいな容姿端麗な男娼を買ったことがあってね。その時にやはり魔法を使えないよう手枷をさせられていたよ。壊れるまで抱いてやって、本当にくたばっちまったから牢屋に繋がれた。その上賠償金まで払わされてね。それでこの世界に落ちたわけだが、再びこの僥倖に巡り合えるなんて俺はつくづく幸せ者だ」と、自分の過去を恥ずかしげもなく披歴しながら、カミュの前に一本の細長い棒と淡い緑色をしたとろみのある液体の入った瓶を取り出して見せた。
「ち……近づくな……」
カミュはギヨームから顔を反らすも、もう一人の男が背後からカミュの頭を掴みギヨームに顔を向けさせた。
「これが何だかわかるか?」
「……知るもんか」
「教えてやろう。嫌がる者を抵抗させなくする薬だ。……無い方が楽しめるんだが、頭 の言いつけだ。壊さぬようにと言われている。お前も気持ちよくなりたいだろ」
「い……一体、何のことを言ってるの……」
「鈍いガキだ。大人しくしてれば、悪いようにはしねえよ」
そう言うと、ギヨームはカミュの麻のシャツを左右に割いた。サスペンダーは千切れ、ボタンは弾け飛び、象牙色の胸が露わになる。カミュはビクッとして、開けた胸を両手で覆い隠した。
「首筋を見ろよ……口づけの痕があるぜ」
隣の男が髪を無理やりかき上げてカミュの細いうなじに手を這わせる。そして、臭い息を吐きながら嘲った。
「何嫌がってんだ?昨日も身売りしてきたんだろ?下も脱げよ」
「僕は身売りなんてっ!してないっ!!やめて!」
「どうだっていいんだよ。おらっおらっ」
「自分で脱げないのか?」
「いや!いやです!!やめてっ!!」カミュは曲げた両足を両手で抱え込み、首を竦めて体を丸くした。
「商売稚児が何を今更だ。時間をかけさせるな」
じたばたと抵抗するカミュの四肢を押さえつけ羽交い絞めにすると、ズボンを下ろされ下着の上から膨らみを弄られる。
「はっ!!いや」
「おい。濡れてるじゃねえか?ええ?どういうことだよ」
下着を剥ぎ取られ飛び出した肉筒の先端から密が流れ落ちるのを、男たちはまじまじと見入った。
「後の穴もか?」ペニスを握られながら、他の男達の手が背筋をさすりながら肛門の方へと伸びていく。
「いやだ!!離して!!」
首にかけられた太い腕に噛みつくと男は一瞬ひるんだが、ギヨームはカミュの頬を強かに殴った。
「反抗すんな。ええ、自分の立場が分かってるのか?」
男の腕には二筋の血が流れていた。鋭い犬歯が皮膚を突き破ったのだ。
「あんたたちの仲間なんかに絶対になるものか」
「こんなことされてもか?」と、ギヨームは瓶の蓋を開けて、緑の液体に中指を浸すと、それをぐいといきなりカミュの後孔にねじりこんだ。
「ああ!!ぐぅ……ああ!!」指を入れられた瞬間に、体の中が燃え上がる。
「軽々一本入っちまったな。どうだ、感じるだろ」
——なに……これ……体が、痺れる。
もう一本入れてやると、液体にまみれた人差し指をずぶりと挿入され、カミュは熱い吐息を漏らした。
「ああ……はぁぁ……はぁぁ……うぅ……」
「体というのはな、心のままには動かないのさ。感じたくないのに、感じてしまう。……薬とは残酷だ」
ギヨームはにやにやと下種な笑みを浮かべながら、指の蠕動を激しくする。カミュは恥部に宛がわれた手を払おうとするものの腕に力が入らない。もうすでに両腕は解放されているというのに。冷たい床の上で麻痺してしまったのだろうか。否、違う。
前立腺の辺りをぐりぐりと擦られて、全身に電流が走ったかのように震える。抱えていたはずの足は脱力して放り出され、痙攣の度に足先が拠りどころなく揺れている。粘性を持った液体は、細い棒を伝って胸元にもたらされて、乳首に触れるや否やカミュは羞恥に顔を染めた。
「いや!いや……!いやです」
目を瞑り顔を顰めても、前ほどには強く拒絶が出来なかった。胸の突起が、淫口が、身に余るほどの快感に悶えて、拒むことなど到底できないのだ。
「おいおい。気持ちよくて抵抗する気も起きなくなってきたか。陥落するのが早いんじゃないのか?ええ?もう大分開発されているみたいだからなあ。だが、この薬の効果はこんなものじゃない」ギヨームは昏く笑った。
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