2 / 5

第2話

神田は今日も丁寧に車のドアを開け、 「いってらっしゃいませ、祐様。」 そう言いながら高い腰の位置でお辞儀をした。 「あーい。」 俺の声に合わせたように、運転手の松山がゆっくりと車を発進させた。 「祐様。今日はなんだかお疲れのご様子ですね。」 「え、ああ、、今日は利久が帰ってくるからかな、眠れなかった」 そうすると松山は少し驚いた顔をして 「そうでいらっしゃいますか。」 とにこやかに返事をした。 「それではいってらっしゃいませ。」 静かなエンジン音で車が走り出すのを見送って、学校の門をくぐった。

ともだちにシェアしよう!