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第2話
神田は今日も丁寧に車のドアを開け、
「いってらっしゃいませ、祐様。」
そう言いながら高い腰の位置でお辞儀をした。
「あーい。」
俺の声に合わせたように、運転手の松山がゆっくりと車を発進させた。
「祐様。今日はなんだかお疲れのご様子ですね。」
「え、ああ、、今日は利久が帰ってくるからかな、眠れなかった」
そうすると松山は少し驚いた顔をして
「そうでいらっしゃいますか。」
とにこやかに返事をした。
「それではいってらっしゃいませ。」
静かなエンジン音で車が走り出すのを見送って、学校の門をくぐった。
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