何度も鳴るリップ音に興奮する。 　するりと舌が入ってきて、歯列、上あご、舌の柔らかな裏側、とにかく余すところなく丹念に舐られて、こちらとしてはその舌の動きについてゆくことが精一杯なのに……仁は器用なのかな。両手が胸元に降りてきた。 　二つの乳首を同時にこねくり回され、もう、ペニスが疼いて仕方がない。 　離れてゆく唇の境目から見える舌が、唾液を滴らせている。 「響。息が荒いな。興奮しているのか」 「だって……こんな風にしつこくキスされたこと、今までなかったから」 　と、答える間にもキスは顔中に降ってくる。まるで喜びの雨のように。 　俺たちの立っているところはとても危うくて。ただ、俺は仁という存在に縋り付いていた。しかしこれからは違う。俺だって、仁を支えられる。いいや、支えたいんだ。 　何とか手を伸ばして、仁の鍛え上げられた腹部を指でなぞる。そこがひくりと、微動した。 「煽るな」 　左目元にある黒子が艶めいている。 「煽るよ……」 　唇を舐めながら言うと、後頭部を掴まれて、またキス――いや、そんな生易しいものではない。食われているみたいに激しい口付けだ。息が苦しくなって、鼻から掠れた音が漏れた。 　飲み込みきれない唾液が唇の端から伝い落ちていって、くすぐったい。舌を強く吸われてその付け根がじんと痺れた。 　もう、駄目。亀頭から先走ったものが滲んだことがわかる。どうしよう。 　苦しい。息が、胸が、この強い愛、与えられる快感が激しく濃く、切なくて…… 「仁、仁、ひと……し」 　名前を呼ぶ。何度も呼ぶ。 　俺の男だ。そう意思を込めて、キスの合間に呼び続ける。 　唇のまわりはもう唾液でべとべとに濡れてしまった。 　その滑りを利用して擦り合わされる唇。下唇を優しく食まれ、引っ張られて、キスの余韻を残して仁は顔を離していった。 　形が良く細い二重目蓋の奥にある瞳に、燃えるような熱が見える。 　背中に腕が回ってきて、ベッドの上にまた、仰向けに寝かされる。 　身体を跨いで覆いかぶさってきた仁の、胸元を両手で撫でたら、くすぐったそうに少しだけ身を捩った。 　ベッドへ膝立ちをしたかと思うと、こちらの膝を割ってそこに身体を入れてきた。 　下腹部に手が伸びてくる。すでに勃起しているペニスの先を指でぴんっと弾かれた。 「ここ、弄る？　それとも後ろをもう触ろうか？」 「どうにかなりそうだから……早く。ゴムは付けないで、いいから……直接っ、繋がりたい」 　期待に喘ぎそうになる声を押し殺しながら言うと、喉の奥で笑うような声が降ってきた。 「可愛いことを言う」 　胸元に寄せていた手を掴まれた。誘導されて、仁のペニスを握らされる。 「俺も、早く響の中に入りたい」 　……すごく、硬い。亀頭のぱんっと張った弾力を指で確かめる。