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第25話
まだぼんやりとしていた頭を振る。何度か瞬きをしてから辺りを見渡すと、すぐ隣に仁の寝顔があった。
妙に身動きが取りにくいと感じていたのだが、それは仁に抱きつかれていたからか。
――ああ、好きだなぁ。高い鼻筋から薄い唇までのラインを指でなぞる。
仁が目蓋を痙攣させた。そして、ゆっくりとそこを開いてゆく。
「起こした?」
「いや、まどろんでいただけだから」
と、言いながら身体を摺り寄せてきて、心臓が、跳ね上がった。
甘えてるの、かな。こんな素振り、今まで見せてきたことがない。
「身体は綺麗にしておいたから。まだ少し眠いならば、このまま寝ていいぞ」
「仁こそ、このまま俺を抱き枕にして眠っていいよ」
「そうだな」
穏やかな声だ。
鼻筋で頬を撫でられ、胸がキュンとした。
部屋が薄暗いとどうしてか、相手の存在をより強く感じる。
きっと、いいや、絶対にって断言できる。これ以上の恋を知ることはもうない、と。
「俺、幸せだよ」
仁へそう囁くと、抱きついてきている力が増した。
「もっと、もっと幸せにする」
頬をやわやわと食まれ、くすぐったさに小さな笑い声が飛び出した。
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