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目覚め2

  「……あ」 彰広の目が透を捕えた。 透の瞳は不安げに揺れている。 あれからどれくらい時間が経った? 自分は……黒田はどうなった? 聞きたいことは山のようにあるが、透の唇からは言葉が出ない。 透は揺れる瞳で彰広を見つめ続けた。 彰広の手が透の頬を撫で、そのまま強く抱き寄せた。 彰広の胸に顔を埋めるように、抱き締められる。 「お前は何も考えなくていい」 彰広の力強い腕に抱かれ、透は考えるのを放棄した。 まだどこか放心状態だったのかもしれない。 全てを彰広にゆだねるように、透は目を閉じて体の力を抜いた。 ─────二週間後。 透は目覚めてから一度も彰広のマンションから外に出ていなかった。 出ないのではなく、出られないのだ。 彰広のいないときは必ず誰かしら組の人間がいた。夜になれば彰広に有無を言わさず抱かれる。 黒田はどうなったのだと聞いても、彰広は教えてはくれない。 「殺しちゃいねぇから安心しろ」とだけ言われた。 自分の部屋に一度戻りたい、仕事や学校が心配だと口にすれば、気にしなくていいと一蹴される。 彰広は肝心な事はなにひとつ、透に教える気はないようだった。 これではまるで監禁だ。 透は昨年の冬、彰広に監禁された三日間を思い出していた。あの時とはまるで待遇は違うが…… 縄や手錠で繋がれているわけじゃない。 狭い監禁部屋では無く、彰広のマンションは快適で生活に不自由はない。 透に不自由させないように部下たちに命じているのだろう。 だが、軟禁状態なのは変わりはない。 目覚めた当初は、透も少し正気ではなかったかもしれない。 でも今は焦る気持ちが強くなってきていた。 彰広はことあるごとに透を閉じ込めて囲いたいと、冗談めかしてからかっていた。 本気なのかもしれない。 そんな考えが頭をよぎり、透はゾクリとした。 彰広は本気で自分をここから出す気が無いのかもしれないと思えたからだ。

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