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束縛1

  八雲の有無を言わせないオーラに押されて、透は大人しくリビングのソファに座った。 目の前には湯気の立つ湯呑を置かれたので、おずおずと口を付ける。 温かいお茶が透の気持ちを少し落ち着かせた。 程なくして、彰広が帰ってきた。 「では、私はこれで」 「ああ」 八雲が帰っていき、彰広と二人きりになった。 透は彰広の方をちらりと見る事もせず、湯呑を見つめていた。 剃んな透の隣に彰広は座って、まるで子供に言い聞かせるように話しかける。 「駄々をこねて、真田を困らせたらしいな」 その言い方に透はカッとして言い返す。 「誰がっ!……こんな……ずっと閉じ込めてるお前のせいだろ!」 苛立ちを露にして彰広を睨み付けるが、彰広は静かに透を見ている。 「……ここから出たい」 「駄目だ」 「……なんでっ!」 彰広が透の顎をとらえて 「お前は俺のものだからだ」 「………っ」 射抜くように強い瞳で透を見つめた。 「俺はモノじゃない!」 彰広の手を払い、透は睨み返す。 話しても無駄だと思い、立ち上がろうとするのを彰広が引き止めた。 「どこへ行く?」 「離せよ。お前と居たくない」 透はもがいて、彰広の手を離れた。 まっすぐに玄関に向かい、ガチャガチャとドアノブを捻る。 彰広は内側にも鍵を付け、鍵が無いと中からもドアを開けられないようにしていた。 ガンッ! 透は感情にまかせて、ドアを強く叩いた。 「止めろ。透」 ゆっくりと彰広が背後から近付いてきた。 「ここから出せよ!」 「駄目だ」 彰広は後ろから透を抱きしめ、うなじに口付ける。ビクリと透の体が揺れた。 またなしくずしにセックスをして黙らせる気だ。 「嫌だ! 離せ!! 触るな!」 「いい子だから、こっちに来い」 「嫌だっ! 今、お前とはしたくない!! 離………ううっ!」 彰広は無理やり口付け、透を黙らせた。すぐに舌を侵入させ深いキスをする。 「!?」 透は彰広の舌に噛みついた。 驚いて唇を離した彰広を突き飛ばして、透は彰広の腕の中から逃げ出した。 どこにも逃げ場など無いのだが………。    

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