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真田3
夕暮れ時、八雲から真田に今日は早く彰広が帰宅すると連絡が入った。
通話を切り、透を見るとソファでうたた寝をしているようだった。
夏とはいえ、エアコンの効いた部屋だ。真田はブランケットを透の体に掛けた。
………余計なことを言ったかもしれない。
透はずっとここから出たがっている。だが、できれば彰広の側にいて欲しい。彰広がそれを望んでいるのだから。
男であり、カタギである透に、彰広に全てを預けて生きることを選ぶのは難しいだろうか………
玄関から物音がして、彰広と八雲が帰ってきた。真田はすぐに出迎えに玄関へと向かった。
「透は?」
「ソファで眠ってます」
彰広はすぐに透のことを聞いて、眠る透に視線を移した。
………なんて目で見てるんです。
このニ週間、驚かされることばかりだ。
真田は極道としての彰広しか知らない。強く、冷静で、カリスマ性がある。
彰広に憧れているが、恐ろしくも思う。身内でも、ヘマをすれば容赦しないからだ。
だが、今は………愛する者を見る目で、眠る透を見ている。
彰広に帰っていいと言われて、真田は八雲と共に部屋を出た。
真田は複雑な顔をして、八雲の後ろを着いて歩いた。
ニ人が相思相愛なのは第三者の自分にも分かる。だが、今の状況が良くないのも分かる。
透が、透さえ折れてくれれば………
「真田」
「はい!」
エレベーターの中で考え込んでいたら、八雲に呼ばれて顔を上げた。
「余計な事は考えるな」
「はい」
お見通しか………。
八雲はこの状況をどう思っているんだろうか?
真田はちらりと八雲の冷たい横顔を盗み見たが、口には出さなかった。
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