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迷い1
彰広はソファで眠る透の髪に触れ、優しく頬を撫でた。
昨夜は無茶をさせてしまった。けれど、透が自分を拒む事が許せなかったのだ。
彰広は眠る透を抱き上げて、その軽さに眉をひそめる。
………痩せたな。
この二週間で透の体重は少し落ちていた。軟禁状態の透は精神的に追い詰められていた。
それでも、彰広は透を部屋から出す気は無かった。
透を抱いて寝室へと運び、そっとベッドに降ろした。深く眠っているようで、透が目覚める様子はない。
その寝顔は少し幼く見えて、彰広に十代の頃を思い出させた。
透に対する自分の想いに気付いた時は、まさか一線を越える日がくるとは思っていなかった。
一生、口にすることも、透に触れることも無いと思っていた。
想いが叶い、透と結ばれても飢えは収まるどころか増していく。
抱いても抱いても、飽きるどころか、もっと欲しくてたまらなくなる。
十年以上も抱いていた想いだ。
透が彰広を想うよりも、彰広の透に対する想いは暗くて重い。
彰広は透の唇にそっと口付けた。
触れるだけのキスだ。
「………透」
彰浩はしばらく透の眠る顔を見ていた。
自分の手の中にあるというのに………ここ数日、透の心を遠く感じる。
小さくため息をつき、彰広はそっと寝室を出て行った。
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