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執着心1

翌朝、珍しく透は玄関まで彰広を見送った。 昨夜は何もせず、ただ抱き合ったまま眠った。 他の者には分からないぐらいの僅かな変化だが、今日の彰広は穏やかな表情をしていた。 ………たった………あれだけのことで。 「側にいる」と彰広を抱きしめ、そっと口付けた。ただそれだけで、彰広は安心したように深い眠りについた。 彰広の方が自分よりもずっと強いと、透は思っていた。男にも女にも人気があり、いつか捨てられるとしたら自分の方だと思っていた。 けれど、本当は違うのかもしれない。 昔から彰広はタフでカリスマ性があって、いつでも余裕の表情をしていた。 なぜ、こんなにも彰広が自分に執着するのか、分からなかった。 そうだ。これは執着心と呼んでいい。 好きという感情だけでは足りないくらいに、自分は彰広に執着されている。 その事実を透はやっと認めた。

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