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第8話
旭が風呂に入ってから40分程が経ったろうか。
上がったと言う声が聞こえそちらを見ると上半身裸で髪も生乾きのいつもの彼の姿があり、幸久は苦笑いした。
珍しく素直な彼に何かあるかと思えばやはりいつもの姿で少し安堵した。
「ほら、風邪引く。
俺が乾かしてやるから座れ。」
「ん。」
注意を受け服を手に取る旭をチラリと横目で眺める幸久。
良く見ると綺麗な身体をしているなと思う。
あまり鍛えていると言うわけでは無いが
滑らかで形もいい。
だがここではっとする。
幼馴染みの息子を自分はどんな目で見ているのかと。
父親似の容姿が大樹の影をちらつかせるのだ。
そんなある日のこと、幸久に一本の電話が掛かってきた。
大樹からだ。
「もしもし。」
『もしもしユキ、今都合は大丈夫か?』
「ああ……。」
息子の旭の様子が気になりかけてきたと言う。
なんせ我が儘な息子故、迷惑を掛けているのではとか、普段どの様に過ごしているのか等気になるらしい。
「別に迷惑は掛けていない大丈夫だ。
まぁ、少し自分のことに無頓着な所があるのが心配か。」
『ああ……すまん、
あいつ昔から適当だからなぁ……。
迷惑だろ?ほっといてくれて問題ないから。』
「そうか?」
そうは言うものの放ってはおけないだろう。
『そうだ、今度そっち行くわ。
やっぱ気になるしな。
飲みに行こうぜ?
ついでに旭に色々説教しないとな。』
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