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第9話

「おう、久しぶり。 元気だったか?」 「ああ、そっちは?」 「まぁ、ぼちぼちだな。 よう旭、相変わらず仏頂面しやがって。」 連休を利用してやって来た大樹と居酒屋で落ち合ったが、旭は父親に会いたくなかったようで嫌な顔をしている。 まだまだ反抗期のようだ。 それでも何だかんだ着いてくるのだから可愛いものだと幸久は笑う。 「旭、学校はどうだ? 幸久に迷惑かけてないだろうな?」 「別に……」 素っ気なく返す旭にため息をつく大樹。 全く彼の態度には困ったものだ。 それから大人二人はビールで未成年の旭はジンジャーエールを頼み久々の再会に乾杯する。 「仕事はどうだユキ? 旭はちゃんとやってるか? 大変だろ。悪いな本当に。」 「問題ないと言ってるだろ。 あんたも随分変わったな。 人の親になった。」 「ははっ、そりゃ20年近く嫁の尻に敷かれながら親やってっからなぁ。 嫌でも変わるさ。」 仲良く談笑する二人を横目で見る旭はモヤモヤした。 普段は見せない楽しそうに笑う幸久にこんな笑い方も出来るのかと……。 幼馴染みで好きな相手と言う事もあるのだろうが、その笑顔を父親に見せないで欲しいと言う感情を覚え余計にイライラする。 同時に自分は幸久を好きなのだと確信した。

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