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第10話

楽しくない……。 父親との食事がこれ程嫌だと思ったのは初めてで、早く終わらないかとつい爪先で床をトントンとしてしまう。 そんな様子の旭に気付き眉を顰めるのは父親の大樹。 「おい、その悪態つくのいい加減止めなさい。 幸久の前だぞ?みっともない。」 「ああ?」 「はぁ、全く……。 俺も長男だからとついつい甘やかしてしまったが、これからはそれじゃやって行けないぞ? もうガキじゃないんだ。 少しは……」 「ああもう、うるせー。 説教はいいってのうぜぇな。」 流石にこの態度には大樹もキレた。 「いい加減にしろ!! 一体どれだけ迷惑掛ければ気が済むんだ!?」 「落ち着け大樹。」 このままでは収拾がつかなくなりそうなので幸久が大樹を宥めるが二人とも気が立っていてまた喧嘩になるかもしれないと一先ず解散することにした。 「悪いなユキ。 こんな筈じゃ無かったんだが。 全く、困ったものだ。 ちと甘やかし過ぎたのかもな。」 「男ってのはそんなもんだろ。 社会に出たら親の有り難さも理解するさ。」 「そうかね……? そうなることを祈るよ。」

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