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第11話

大樹と別れた帰り道、無言で歩く幸久と旭。 むすっと不機嫌な旭にどう声を掛けていいのか分からないままの幸久は軽くため息をつく。 これは親子の問題故自分が首を突っ込むものでは無いのではと考えるが、このまま不機嫌の旭と関わるのもまた面倒だと思い漸く重たい口を開く。 「旭、何をそんなにイライラしている? いくら反抗期とは言えもう少し自分の立場を考えたらどうだ?」 「………っ。」 「大樹もお前が心配なんだ。 だからわざわざこっちに顔を見に来て__」 「アンタも親父の味方すんのかよ」 「何?」 父親が自分の心配をしていることは分かっている。 けれどそれ以上にイライラして仕方無いんだ。 あんな楽しそうに父親と話している幸久を見るのが……。 好きな相手と話しているのだから当然だろう。 そんな二人の間に自分は入って行けないのが悔しくて、苦しくて、どれだけ幸久を好きになってしまったのかを自覚してしまうんだ。 「そうだよな、好きなんだもんな親父の事。」 「………っ!? 何を、言ってっ……。」 「聞こえたんだよ。 親父が好きだって……。」 「……っ。」 大樹を好きだと知られた幸久は申し訳なさそうに口を噤んでしまった。 知られたくなかったのも旭は分かっている。 でももう、隠す気もなかった。 この自分の気持ちも……。 「俺、アンタが好き。 親父なんか見んなよ!!」

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