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第13話

一つため息をついた幸久はこう答えた。 「お前の為だ。」 「俺の…ため…?」 「そうだ。 お前は一時の気の迷いに惑わされているだけだ。 俺が余計な想いを今まで持ち続けていたから、大樹の幻影をお前に投影していたんだ。 すまない。俺のせいだ。 だからお前は、俺の事は忘れてるまともな恋をしろ。」 自分みたいな男に惚れても彼の為にならない。 それがノンケの彼なら尚更、女性と恋愛し結婚すべきであると幸久は思う。 ましてや幼馴染みで初恋の相手の息子を恋人にする等大樹に顔向け出来ない。 けれど旭にとっては納得なんて到底出来るものではなかった。 彼も沢山考えて、考えた末の結論なのだから自分の気持ちを否定されたくはない。 「なんだよそれ……。 まるで俺がおかしいみたいに……。 ハッキリ言えよ!! お前みたいなガキには勃たねぇってよ!! 余計な気ぃ使って俺の為だとか、嫌なら嫌って言ってくれよ……。」 「嫌だなんて思ってねぇよ。 俺はただ……」 「じゃあいいじゃん俺で……。 無理っつうのはそう言う対象じゃねぇんだろ?」 このままでは平行線を辿るようだ。 涙を流しながら上目遣いに見てくる旭に幸久も胸の奥を擽るような感覚に頭を抱え、息を大きく吐いた。 「俺だってお前を好きだよ。」

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