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第14話
「え?」
ポツリと吐き出された幸久の本音に旭は聞き間違えかと思った。
でもはっきりと聞こえたお前が好きだと言う言葉。
「今はもう大樹を恋愛対象としては見ていない。好きだよ旭、お前が……。」
「あ、え……?
ほんとに……?」
旭をいつの間にか意識し出し、気付いた時には恋に落ちていた。
二人とも同じように互いを徐々に意識していったのだ。
だが好きになってはいけないと突き放した幸久だったが、こんなに一所懸命訴える旭の告白を断る事が最早出来なくなった。
「好きだよ。
だが、お前は大樹から預かっている大切な息子だ。
手を出すわけにはいかねぇだろ。」
「そ、んなの……。」
旭でも分かる。
とても愛があればどうにでもなるとは言えなかった。
そんなことになれば幸久の信用が無くなり、今まで築いてきた物を根底から崩してしまうことくらい分かる。
「けど……。」
「?」
「やっぱりお前が好きだ。
好きだ、旭……。」
この日、大樹に会って分かったことがある。
ずっと旭を大樹に重ねて見ていたと思っていたのにそうじゃなかった。
俺は、"旭"を好きなんだと理解したのだ。
「きっと大樹は許さないだろうな。」
「いいよ。
親父に何言われても、俺アンタが好き。
だから付き合え‼」
なんとも上から目線で生意気な告白だが、
それすらも可愛いと思ってしまう自分はもう末期だろう。
「ああ……。」
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