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交流合宿
交流合宿は土曜日と日曜日の二日間で行われる。
一年生同士の交流や部活勧誘が主な目的だ。
一年生同士で交流できるようにクラスの垣根を越えて、ランダムに五、六人の組を作られ、部屋を分けられる。
ちなみに合宿場所は、近くにある自然の家で行われ、一年生は絶対参加。スポーツ科の二年生や文化部に所属している普通科や特進科の二年生も何人か参加しているようだ。
「晶、お前何班だった?」
「五班。丞は?」
「俺、二班!体験入部は班の縛りないみたいだし、一緒に回ろうよ」
「あぁ」
午前中のレクリエーションが終われば、午後は部活勧誘のための体験入部が各々の部活で行われる。
午後の時間、一年生たちは沢山の部活を見て回ることができる。
俺は、書道部の体験入部って決めてるけど!
……でも、やっぱり水泳部も気になるんだよな。
肩が故障してなかったら、水泳部も視野に入れてたけど……まぁ、しょうがないか。
晶と別れ、二班の所に行くと、たまたま同じクラスで隣の席に座っていた佐藤和也 くんと一緒になった。
「あ、佐藤くん。二班だったんだ!よろしくー」
「あ、九重くん!知ってる人がいて良かった!僕、結構人見知りだから、ちょっと不安で……」
えへへと笑う佐藤くんは、背は高くもなく低くもない、顔も悪くもないが特段良くもない(失礼だけど……)。
というか、俺と同じような地味なタイプだから親近感湧いちゃう。
晶はイケメンなタイプで、中学の時なんか、二日に一度は告白されてた。羨ましい……。
卒業式も第二ボタン狙われてて、何故か俺に学ラン丸々渡してきて、女の子達からだいぶ白い目で見られた……。
『いらねー!』って突き返しても、『俺もいらん』って言われて、学ランの上に学ラン着させられて暑苦しかったし、サイズが一回り違ったことに密かに傷ついた思い出がある。
晶は顔も良くて、運動神経も良くて、頭も良い。何よりモテる。
ただ一つ難を挙げれば、人付き合いが苦手。
そこだけは俺が唯一勝てる所だった。
あいつ、大丈夫かなー。
幼なじみとしては、ちょっと心配だな。
「九重くんはどこの部活に入るの?」
「書道部に入ろうかと思ってるんだ」
「書道部かぁ……。書道部ってかっこいい副部長さんがいる部活だよね?かっこいい人だったから、皆噂してたよ」
佐藤くんは、人の良い笑顔で廊下を歩きながら教えてくれた。
そうだ。書道部の副部長は翼くん激似のイケメン男子。
是非、お近づきになって、眼福を賜りたい。
それにしても佐藤くん、皆が噂してたって、何を噂してたんだ……!!
ただ、晶に話すみたいに、テンション高くして話すのもドン引かれそうだしな……。
「ふーん。確かにかっこよかったけど……そ、それで、皆、何を噂してたの?」
ちょっと吃ったけど、自然な感じで聞けたと思う!!
「えーっと、かっこいいから彼女とかいそうだよねーとか、うち男子校だから、もしかしたら彼氏がいるかもとか……そうそう、アイドルの……えーっと、エーデルなんとかのなんとかって人に似てるって言ってたな」
エーデルシュタインの金水翼くんだよっ!と、激しくツッコミたかったけど、アイドルオタクではない彼にとってはぱっと名前なんて出てこないのかもしれない。
けど、男子校でも、アイドルを知ってる人がいるんだという謎の安心感を俺は持ってしまっていた。
あー!早く体験入部の時間にならないかな!?
書道部の翼くん(副部長)に会いたいな……!!
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