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万里side
「半年程ここを開けるので後はよろしくお願いします」
仕事の都合で半年程帰国することになった。
あの日から一度もその地を踏んでいないから何だかそわそわする。
「忘れ物ないよね?」
「ない」
「んじゃいこうか。友里亜」
友里亜は運転手だった北川のいとこ。大きな会社の娘でもあり実は幼い頃から許嫁とされていた。
とはいえ大学に入るまで会うことはなく…ていうか高校一緒だったけど気づいてなかった
今俺は友里亜と過ごしている。勿論大人の関係もある。
「久々だねぇ。」
「そうだね」
「…ねぇ…。千里くんの…」
「帰国したらすぐ父のところに行って色々済ますから休んでおきなよ。着いたらゆっくりする暇なんてないから」
せんちゃんのことは聞きたくない…だってこんなに時がたったのにまだ胸が痛むんだから…
せんちゃんが結婚したと言うことは友里亜から聞いた。子供はないみたいだけど俺じゃない誰かと生きてるなんて…想像しただけで吐きそうだ
今せんちゃんがどこで何をしているのか俺は聞かないようにしてる。だって会いに行きたくなっちゃうでしょ?今度こそ衝動的に閉じ込めてしまうかもしれないでしょ?
父と会うのもあの日ぶり。少しだけ小さくなった気はするが相変わらず眼光は鋭い
「では失礼します」
父と会話してたら気付けば時間は過ぎていた。明日からこちらの新設されたホテルの支配人として人を育てることをする。
友里亜に手伝ってもらいながら期間限定の日本での仕事をこなすことになっている。
友里亜はとても綺麗で仕事も良くできる。公私の区別もしっかりと出来ていてビジネスパートナーとしても有能だ
一緒に宿泊する部屋へ行き早々に交わった
「友里亜。明日のスケジュール教えて」
互いに何も纏ってない姿でいたのだがまったりもしていられないちゃっちゃと着替えたら友里亜はもう仕事モード。
明日の朝イチで俺が向こうに戻った後に後を継ぐことになっている人と顔合わせがある。
彼の実績は申し分なく父もその能力を買っていて今回抜擢されたようだ。名前は聞いてないけれどあの頑固で傲慢な父を唸らせる人だ。きっとすごい人なのだろう。そんな人が同じキャンパスにいて名前を聞かないはずなかったのに…知らない…それだけ俺はせんちゃんしか見えてなかったのだ
「ふーん。どんな人だろう?同い年…独身…大学一緒?誰だろ?」
「だから…まぁ。いいわ。じゃあ。私はあっちの部屋使うからね。おやすみ」
俺たちに用意された部屋は二部屋ある。事を終えたら一緒のベッドへ戻るつもりなんて元々なかった。
友里亜と関係をもってからやることはやるけど寝るときは一緒ってことは一度もない。
友里亜と俺の関係は互いに都合がいいだけなのだから
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