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万里side 少し前に友里亜と話した。 「まだ…万里の買ったマンションの部屋そのままにしてるみたいよ。奥さん…あぁ…元奥さんはそこには招いたことないみたい。たまに掃除しにいくって言ってたよ」 「そうなの?」 別れて大分たったし結婚していたからもう売ったものだと思ってた。 せんちゃんの性格上他の誰かとあの家に住まないってことは何となく思ってたし過去なんて全て帳消しにして次に進んだって思ってた… 僅かに希望の光が見えた気もしたけれどそれは俺の思い込みってことに直ぐに気付いて頭を降った… 一度だけ…一度だけあの家にいってみよう… ふと思い立ったのがさっきで…今日のせんちゃんのシフトは敢えて聞いてないけど…。 きっとまだ仕事してるはずだ… そして久しぶりのマンションを見上げた。ここの最上階の角部屋だった。電気はついてない。当たり前だけどどこか寂しかった 鍵が変わっていたのならどうすることもできないけど…そう思いモニターにキーを翳すと自動ドアがあいた 「変えてなかったんだ…」 嬉しい…だって俺がいつくるのかもわからないのに鍵変えてないなんて… エレベーターのモニターにもう一度キーを翳して到着して久しぶりの廊下を歩く 部屋のドアの鍵も開いてそっと中を見渡すけれど真っ暗で何も見えない。手元のスイッチを押して玄関のライトをつけた。 「っ…」 驚いた…せんちゃんの靴がある…これはあの頃のものではない…きっと…今のだ…就職して結婚して選ぶものは変わったって友里亜が言ってた… おそるおそる足を踏み入れる。やっぱり電気はついてない…せんちゃん…どこ? 始めに向かったのはリビング。ここに人気はない。取り敢えずライトをつけて見回す… せんちゃんの部屋? せんちゃんの使ってた部屋をそーっと開くけどそこにもいない… 二人で使った寝室は…?いるわけないか… 俺の部屋?まさか…取り敢えず仕事で使うことが多くて疲れたら寝室に戻らずにここで寝てたからベッドが置いてある。まぁほとんど使わなかったけど… そーっと開けると部屋の中心のラグに人影… 「せんちゃん?」 倒れてる?怖い…怖い!! 何かあったら俺はどうすればいい?よりを戻そうなんて言わないから…生きていて… 焦ってせんちゃんのところにいくと小さく寝息をたてていた 「よかったぁ…寝てるだけか…あれ…」 ふと棚の上に目をやるとそこには高校時代の四人で撮った写真が置いたままになっててその横に俺とせんちゃんの写真を置いていたはずだけどそれはそこにはなく… 「…捨てちゃった…のかな?」 現実に直面して苦しくて涙が出る。別れたやつとの写真なんか…置いてるはず無いよね… このまま寝てたら風邪引いちゃう…俺の毛布をそっとかけてあげて髪を撫でる。そのときかつんと膝に固い感触…みてみるとせんちゃんの手には大切そうに俺たちの写真が抱かれてた… 「…どうして…そんなに…」 期待しちゃダメだ…再度過った俺の希望を打ち消して部屋を出た。 そのまま寝てたから冷えているかもしれない…暖かいものを準備しよう… そう思ってキッチンに戻りお湯を沸かす。 毎朝俺が飲み物の用意してせんちゃんがご飯を作ってくれた… 「あぁ…だめだな…やっぱ大好きだ…」

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