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翌日 仕事は滞りなく終わった。その足で白鳥さんと共に急いで病院に向かった。 会長の検査結果はガンだったのだ。でもまだどんな状態なのかはわからない… 病室につくと談笑している万里と会長の姿が目に入った 「会長!」 「だからぁ。名前で読んでよ」 「…垓さん」 「もう!何で名前で呼ばせるの?俺のせんちゃんだよ!!」 「お前のじゃないですぅ」 「ねぇ。親父どうしたの?子供みたいに口尖らせて…威厳はどこへいったの?俺これまで怯えてたのバカみたいじゃん!!」 「だって万里の父親だよぉ?お前と俺そっくりに決まってるじゃん!」 「もう!もう!これまでの恐怖を返してよぉ!!」 「騙されてた方が悪いんですぅ」 言い合う二人を交互に眺め俺と白鳥さんはあんぐりと口を開ける。 「あぁ…友里亜くんごめんねぇ?ほんとはこんなんで」 「あ…いえ…少し驚いただけです」 「もうねぇプライベートでも威厳保つの疲れちゃったぁ。仕事の時はちゃんとするから許してね?」 ペロリと舌を出してウインクする姿は万里そのものだ… 「えと…」 「万里と話してやっと蟠りとけたよぉ」 「もう!」 「…親子ですね」 「へへ」 そっくりな顔で同時に可愛らしく首をかしげこちらを見る二人の姿に笑みがこぼれた 「あの…」 白鳥さんが口を開く 「ガンって…聞いたんですけど…」 「あぁ!初期段階だったから治癒率高いんだって。腹腔鏡手術して10日ほどで復帰していいみたいだよ。だからそれまでよろしくね?みんな」 「よかったぁ…」 へなへなとその場にへたり込んだ白鳥さんはポロポロと涙を流してた 「友里亜くん。ごめんね。心配させちゃって」 「本当に…良かったです…」 「友里亜!」 「那由多…」 「大丈夫?よかったね」 友里亜を支え起こす優しそうな雰囲気の人がやって来た。白鳥さんはその人の腕に抱かれながらこれまでみたことないような甘い表情を見せ彼に身を委ねていた 「万里くん久しぶり。…そして…君が千里くん?初めまして那由多です。友里亜とご友人なのでしょ?君の話は良く聞いていたよ」 「初めまして」 「友里亜はこのまま連れて帰っていいかな?ゆっくり休ませてやりたいんだ。昨日もあまり眠れていないから」 「えぇ。大丈夫です。じゃあ白鳥さんまた来週ね」 「うん。またね。あ。ねぇ。万里」 「ん?」 「私…もう…」 「わかってる。ありがとう。那由多さんもこれまですいませんでした。ありがとうございました」 「またね」 二人が去った後を見つめた。 「お似合いだったね」 「うん。那由多さんには散々な思いをさせてしまっていたんだ…」 「ん…」 白鳥さんと万里は体の関係があった。それを知っている上で側にいた那由多さんの気持ちは計り知れないけれど見る限りはとても幸せそうだった…

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