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「父さん何言ってるの?確かに俺は父さんに似てるけどそんな変な艶ないしそもそも魅了するとかないから。記憶にない」
「そりゃそうだろうね。隣にずっと万里くんいたんだし。流石に万里くんには負けるしねぇ」
「せんちゃんは誰よりもみんなを虜にしてましたよ。ただ俺や…一…あ…友達が…」
「一呂くんのことかな?そうだね。あの子も綺麗だもんね。いつも千里を変な輩から守ってくれてたんだぁ。一呂くん何度かうちに来てくれたこともあったね。百代くんと」
「え!ずるい!!」
「二人とは中学から一緒だからね。仕方ないよね。万里くんは来てくれたことなかったなぁ。でもね万里くんの名前は千里の高校時代一番聞いてたよ。連れておいでよって何度も行ってるのに絶対嫌だの一点張りだったな。俺が口説いたら困るからって。俺元々どっちもいけるの千里知ってたし嫌だったんだろうねぇ。万里くんが俺のタイプだってわかってたから。俺ね、万里くんみたいな可愛いけどしっかりしてる子好きなんだよね。垓くんも可愛いのにしっかりしてて中身は大人で…うん。ふふ…あぁ…ダメだなぁ…ごめんね。垓くん」
「え…まさか…」
「万里くん。流石だね。そうだよ。俺は垓くんが大好きだ。君の思った通り一生のパートナーでいたい。けど二人の思いも知ってるし戸惑うだろうから内緒にしてようと思ったんだけど…良く考えたらさ、俺と、垓くんが仮に結婚したとして、そうなると二人が義兄弟になるわけだけど…だとしてもさ、二人の結婚って法的には全くもって問題なくできるよね」
「父さん…軽いんだけど…」
「なんで?俺垓くん愛してるし千里も万里くん愛してるんだからそれでよくない?家族になればもし何かあったときでも側にいられるでしょ?」
名案だとでも言うように父がキラキラの笑顔を浮かべた。
「垓くんが退院したら結婚しよ?」
「え?」
「あれ?だめ?そうかぁ…嫌かぁ…」
「ちょっとぉ!史澗くん!嫌とは言ってないじゃん!!あまりにも展開が早すぎて戸惑ってるの。もちろん史澗くんとそうなりたいよ!わかってるでしょ?俺の気持ち」
「うん。知ってる。てことで俺たち結婚するから。ふふ…30年越しの願い叶うね」
「ちょっと!!待って待って!!色々おかしいから」
「おかしくない!好きで何が悪いの?いつか我に返って千里が離れる?怖いのはわからんでもないけどさ、実際俺も垓くんも怖くて踏み出せなくて…その結果一旦別々の人生を歩いたわけだし
確かにね、あの時の諦めると言う判断が良かったってことも沢山あった。
一度は垓くんを諦めて妻を選び愛した。そのときの妻への想いに偽りなんてない。あのときは死ぬ気で妻を愛してたんだから。彼女といられて…本当に幸せだったんだ。千里みたいに立派な息子も出来たしね。
…でも結局垓くんを愛してるって想いは忘れることなんて出来なかった。もう離したくない。それが俺の本音。後から他がいいと言われたら…そのときは俺はどうなるかなんてわかんない。けどそんなまだ起こっていないことでまた垓くんを諦めるなんて嫌だ。
好きな気持ちあるのにまだ見えない未来を恐れるなんてバカバカしいよね。
確かに大学時代君たちはおかしなことになったんだろうね。でも結局赤い糸で結ばれてたってことでしょ。千里はずっと万里くんの影を追い続けてたって俺は、思うんだ。万里くん知ってる?千里の元奥さん君にそっくりだったって。身長や髪型や性格や…その他もろもろ君にとても良く似てた。千里は無意識だったかもしれないけどね。彼女を連れてきてくれたとき俺すごく驚いたんだ。だってずっとずっと愛してた垓くんに似ていたから」
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