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そして…
「お世話になりました」
それから更に時がたち思ったよりも長くかかってしまったけれどやっと万里に会いに行く決意をした
「いくのか?」
「うん。…じゃあね」
父たちと、白鳥さん、一と百に見送られて…
「万里!」
振り返る万里は相変わらず可愛くて…堪らなく愛しくて直ぐにでも抱き付いてキスしたかった…
でも…ゆっくり振り返る万里の隣にいた人が
「誰?」
不思議そうにこちらを見た
俺の気持ちは変わらなかったけど万里は…
…それでもいい。俺はお前の側にいたいから
「初めまして。東雲万里です」
「…初めまして。久遠寺 千里です。今日から一緒に回らせてもらいます」
「あぁ。君が…よろしくね」
「はい」
溢れそうになる涙を必死でこらえて笑う
…万里は…実は日本をたってから暫くして銃撃戦に巻き込まれたのだ。流れ弾が当たった万里は一命は取り止めたものの一部の記憶を失った。その失った記憶は高校時代からあの半年間のこと。
そう…万里の記憶の中に俺は存在しない人になってしまった。…一や百、そしてあんなに長く側にいて支えてくれた白鳥さんのこともわからなくなってしまった
俺を思った日々は消えてなくなって突然できた会ったこともない義理の弟ってことでしか俺は認識されていない。
今回初めて会う義理の弟である俺のことをどう思っているのか…そんなのは怖くて聞けない
だけど万里の幸せを一番近くで見守っていたくて万里と同じ役職につくことを決意したのだ
今万里の隣にいられるのは俺じゃなく彼女だ。
少し小柄でブロンドの髪を靡かせた美人だ。
万里の優しい笑顔は俺ではなく彼女に向けられて慈しむ表情も愛しむ表情も全て彼女のもの…
彼女は万里の入院中担当看護師だったそうだ。記憶をなくして不安定な万里をずっとずっと側で支えてくれていた人…
万里が想うようになるのは必然だったのだ…
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