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あぁ…夢見てるのかな?都合のいい…とても心地いい夢… 夢なら覚めないで…そう願いながら万里に抱きつく… 別れたばかりで落ち込んでるからかもしれない… 多分前の俺なら…そう思ってこれを拒否してた。でも…もう逃したくないんだ… 万里がふと我に帰ったとき離れたいと言うのかもしれない…でも…それでも今はこうして万里を感じていたい 「せんちゃん…泣いてるの?」 「ごめん…年とったからかな?涙もろくなっちゃった…好きだよ…大好きなんだ…万里…俺は…お前以外じゃだめだ…すごく…嬉しい…」 「記憶を失った俺でも?」 「ん…万里は万里だもん…俺の大好きな万里のままだ…仕事は憎らしいくらいできるけどたまに抜けてていつもはクールぶってるけど本当はとても可愛い人で…はしゃぐのが大好きな人で…あぁ…もう…全部は言えないや…好きだよ…お前が好き。だから…俺をお前の側にずっとずっとおいて?」 「うん…ありがとう…せんちゃん…公私共によろしくね…あぁ…嬉しい…大好き…大好きだよ」 「万里…俺…ずっとずっと気持ち変わらなかったよ。気の迷いじゃなかったよ」 「ねぇせんちゃん教えて欲しいことが沢山あるの」 「ん」 「俺とせんちゃんはどんな関係だった?俺の忘れちゃった俺のこと…せんちゃんのこと…そして出会った人たちのこと…楽しいことも苦しいことも全部全部聞かせてくれない?」 そうして抱き合ったまま出会いから別れ、多くの葛藤…幸せだった日々…絶望した日々…全部全部話した。 忘れてしまった万里にとっては夢物語だろう。でも万里は優しく笑ってずっと聞いていてくれた 「あぁ…悔しいなぁ…忘れたこと。でもまたせんちゃんのとこに戻ってきたよ。きっと何重にも閉められた記憶の宝箱に捨てきれないせんちゃんへの想いがあったんだろうね…俺たち…沢山沢山遠回りしたね」 「そうだね…」 「これからもきっと迷ったり立ち止まったり後ずさったりもあるんだろうね。けどもう俺はせんちゃんからは逃げないから。一生離さない」 「うん…うんっ…ありがと…ありがと…俺を…好きになってくれて…」 「こちらこそ俺を好きで居続けてくれてありがとう。沢山待たせた分沢山甘やかして沢山愛するんだから覚悟しててよね。せんちゃんが泣いて嫌だって言ったって離してあげられないかもよ」 「うん…もう…離さないで…俺も…もう万里から逃げないから…離れないから」 ぎゅっと抱き締めあって優しいキスを繰り返す。 本当に長い長い道程だった。 本当に… …あの時…初めて万里に抱かれた日… あの無理矢理さがなければ俺はずっと誰も愛せないままだったのかもしれない。 その頃の俺の口癖 “あぁ…もう!” 万里を好きなのに認めたくなくてその言葉を呟きながら頭をかいて知らない振りをして日々を過ごしてた。その言葉が出るくらい好きなくせに気付かなかった。 早く認めていたらもっと早く万里の隣にいられてずっとずっと側にいれたのかもしれない。 でも…結局認めるのが怖い俺は逃げて逃げて万里を傷付けた。 離れてみて他の人と結婚したけど幸せにしてあげられなかった。 きっと万里の代わりにしてたから。万里だったらこう言うなとか万里ならこうするなって無意識のうちに考えちゃって…今思えば無駄な時間を過ごさせてしまった…そう思うけれどだからこそ気づけた感情もあった。 俺がモタモタしてたからもっともっと遠回りになった… 万里が記憶を失くしたと聞いた時は動揺したけど死の縁をさ迷った万里が戻ってきてくれただけでいいと思えた。 素敵な人と巡りあったことも単純に喜べた。 万里の幸せを側で見ていたい…そう思ってやって来た。 二人の姿を見ることは辛いときもあったけど万里から笑顔が消えないのならそれで俺も幸せだった 死ぬまでビジネスパートナーとして側で支えていく。それだけが俺の生きる糧となった 「好きだよ…誰よりも君を…」 こんな日が戻るなんて思いもしなかった。俺より小柄なはずなのにどこか包容力のある万里の胸に顔を埋めて只管泣いた。 「あぁ…もう!…情けないよね。こんなに泣いて」 「ううん。それだけ俺を思ってくれてるってことでしょ?幸せ以外の何者でもないよね。せんちゃん。大好き…もう…離さない…」 「あぁ…もう!…大好き…大好きだよ」 立派なおじさん二人が初心な若者のように大好きだと何度も囁きあう光景なんて傍から見たら滑稽だろう。それでもいい。どんなに言葉を紡いでも足りないくらいの想いだから ねぇ。万里…俺お前と出会えて幸せだよ。 ずっとずっと一緒にいようね… 完

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