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第91話

「結局千里を選ぶんだから。やっぱすげーよ。俺何度も千里を説得してきてんだよ。お前のことなんて忘れろって。そんな薄情なやつ思い続けなくていいってさ。千里は顔もいいし仕事もできるし年を取った今でも男女関係なく人気もあるんだ。だからお前を待つ必要なんてないんだってな。それなのにお前の幸せを側で見ていたいからって自らそっちに行っちゃうし。本当に…どうかしてる。呆れるよ」 一が何を話そうとしているのか俺にはなんとなく理解はできる。だって以前も同じ話をしたから。 でもそのすべてを万里は知らない。万里は噛みしめるように一の話を聞いていた。 すべて聞き終えた万里は深く息を吐いた 「…俺ってほんとにダメダメだねぇ」 「昔から千里にしか恋しないくせに大切なもん忘れやがって。バカ万里」 「いい返す言葉もない…だからこそ俺は一生を掛けてせんちゃんを愛しぬくから…だから…間違えそうなときはヒント頂戴?図々しいけれど」 「そんなもんなくても察することが出来るのがお前だろ。自分の思いを信じていればいい。記憶なんてなかったのにお前は千里を選んだんだ。それを誇りに思え。間違えそうな時を自分で気付けないくらいの思いならやめちまえ。そんな奴に俺たちの大切なダチはやれねぇ」 「ありがとう。俺今度こそ…間違えないから…だから…信じていて」 その言葉に頷くとくしゃりと万里の頭を撫でた。その大きな一路の手に俺たちは何度も何度も救われてきてるんだ 「一」 「ん?なに?千里」 「俺たちのこと見守っていて…もう…離れないと誓うから」 「…当然だろ。じゃなきゃ困る。うちの百が泣く。もうあいつのあんな顔見たくねぇよ。百代が俺以外のことで泣くとか許せねぇから」 「えぇ!!結局百代くんのため?」 「当然だろ。俺の血肉は百でできてんだから。俺から百取り上げるやつがいるならそいつを俺は殺るな。そんで百殺して俺も死ぬ。あいつが俺のところにいない人生なんてあっても意味ねぇし」 「溝芽くんは?」 「知らねぇよ。溝芽は自分の価値を理解してっからどうとでもなるだろう。あいつを大切にしてくれるやつはいくらでもいるしな。これから更に歳を重ねて死を迎えるときも俺より百が先に逝くなんて許せねぇからそれなら俺が先に逝くか一緒に逝くね。溝芽のことは心配してねぇ。だってあいつ俺のまんまだし」 そんなこと言ってるけれど溝芽くんを愛しているのは知ってる。もしものときはそのさらに先を考えすべて用意周到に準備するのは目に見えてる。一は隙がまったくないから。愛しているからこそその人が不幸になる道には絶対にしない。 「一」 百が部屋から戻ってきた

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