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第93話

「あの万里がまだ手を出してないだと?大丈夫か?病気か?」 百が本当に心配そうに万里の顔を覗き込んだ 「だってあの万里だよね?記憶なくても本能ってそんな簡単に…どゆこと?」 「…俺…そんなに手が早かったの?」 「うん!」 「そんな思いっ切り頷かないでよ!俺もう若くないんだよ?すこーしくらい世の中見てきたのよ?それが全てでないことわかるでしょ?なんなの?なんなの?俺の印象ってなんなの?」 「千里狂いの色情魔」 「…ねぇ…せんちゃん…一くん」 「んあ?」 「…こういっちゃなんだけど…百くんって…馬鹿なの?」 「馬鹿だよ?」  「ちょ!!ねぇ!一!即答!?千里もそんな大きく頷かなくてもいいじゃん!!」 あぁ…もう…本当に…幸せだな…すごく…すごく…嬉しい 「せんちゃん?どしたの?大丈夫?泣かないで…ね?」 思わずこぼれ落ちた涙を焦ったように拭いながら遠慮がちに抱き締めてくれる万里の胸を借りる。優しく俺の背中を摩りながら温もりをくれる…この場所はあの頃と何も変わってない… 「記憶なんて…関係ないよね…だってこれからもっともっと…長い間一緒に…いられるんだもんね…だから…みんな…みんな…ずっと…側にいて…」 「わーん!!千里ぃ!!当たり前じゃん!!みーんなみーんな一緒だよ!これからもっともっと楽しくやるんだよ!ね?一」 「そうだぞ。千里。悪いけどダチを辞める予定はないので。取り敢えず万里…」 「ん?」 「…君付けとか気持ち悪ぃからさ…やめてくんね?」 「うん!一!百!」 「っくっそ…そういうとこだよなぁ…万里…」 「え?」 「やっぱ顔いいわ!」 「何それ!当然じゃん!俺顔だけはいい自信あるし。学生時代4人ともモテたんだろうなぁ…だってみんな顔いいもんなぁ」 「…なんすか?モテてませんけどぉ?3人と違って俺はねぇ!!」 ぷーっと頬を膨らませた百にまた笑いが起きて… 「えっ!!だって待ち合わせ一人で先に来てたとき女の子に沢山声かけられてたじゃない!!それに百狙いの子沢山いたよ?」 今度は一斉に万里の顔を口をあんぐり開けて見た 「…万里?何で…そんなの知ってんの?…思い出したの?」 万里はきょとんとしてこちらを見ると首を傾げた。 「あれ?いや。なんかそんな映像がバーって…え?何?戻る前兆かな?」 「万里!ばーんり!!」 「はい」 「その話ほんと?」 「わかんないけど実際なかったことならこうして浮かばないんじゃない?」 「えぇ!!知らなかったし!!教えてよぉ!なに?俺モテてたの?だったらもっと遊んどくんだったぁ!」 「おい…百代…」 「一っ…あっ…ん…ちょ…急にそんな声で呼ばないでよ…」 百がもぞもぞしだした 「…とりあえずさ俺たちはシャワー浴びてくるからここにいて。溝芽が起きてきたらよろしく」 そういうと百を担いだ一は足早にバスルームへ向かった

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